開発者向けiOS 9、WatchOS 2、Swift 2、Xcode 7の新機能と新しいApple Developer Programの参考情報まとめ夏休みに捗る(3/3 ページ)

» 2015年07月24日 05時00分 公開
[平屋真吾クラスメソッド]
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iOS/WatchOS/OS Xアプリ開発ツール最新版「Xcode 7」

 Xcode 7の主な変更点はPlaygroundやInterface Builderの機能追加、テストを支援する機能の強化などです。Xcode 7のベータ版は開発者プログラム未加入でも入手できるので、新しいXcodeの機能をすぐに試すことができます。

Swift 2対応

 Xcode 7はSwift 2に対応しています。Swift 2に関連する新機能は以下の通りです。

  • migratorを使用して既存のSwiftコードをSwift 2の機能・構文に変換する
  • Markdown形式のコメントをXcodeのQuick Helpに表示

Playground

 Playgroundを使用すれば、コードの実行結果をすぐに確認したり、教育用のコンテンツを作成したりすることができます。Xcode 7では以下のような機能がPlaygroundに追加されています。

  • コードの実行結果をインラインで表示する
  • Swift のコードを説明するコメントに書式を設定したり、画像を追加したりする
  • 画像やサウンドなどのリソースをバンドルしてコードやコメントから使用する
  • Playgroundのコードを補助するSwiftファイルをモジュールとしてインポートする

テスト機能

 Xcodeプロジェクトをテストする機能は、バージョンアップごとに強化されてきました。Xcode 7では「User Interface Testing」「Code Coverage」などの新機能が追加されています。

  • User Interface Testing
    • 画面操作を記録して、UIテストのテストコードを作成する
    • 作成されたテストコードを実行する
  • Code Coverage
    • プログラムのソースコードがテストされた割合を可視化する

Interface Builder

 Interface BuilderはXcodeに内蔵されたエディターであり、直感的な操作でユーザーインターフェースを実装できます。Xcode 7から利用できる「Stack View」「Storyboard References」などを活用すれば、ユーザーインターフェースの実装をさらに効率化できます。

  • Stack View
    • viewのグループを管理するための機能
    • viewをレイアウトするのに必要な制約は自動で追加される
    • ユーザーインターフェースの実装やメンテナンスに必要なコストを削減できる
  • Storyboard References
    • Storyboard上のView Controller 同士の関係の構築を効率化する仕組み
    • Storyboard Referencesは別のView Controllerを参照する「プレースホルダー」を提供する
    • 同じStoryboard上のものでも、違うStoryboard上のものでも参照できる
    • 複雑になりがちなStoryboardのキャンバスを綺麗に整理できる
    • アプリケーションの実行時には、「Relationship Segue」「Triggered Segue」のdestinationとして指定したView Controllerが読み込まれる

その他

 Xcode 7で利用できる、その他の機能は以下の通りです。

  • Games
    iOS/OS X用のゲームを制作するためのツールを強化
  • Crash Logs
    クリティカルなアプリのクラッシュを識別して修正するためのワークフローを追加
  • Address Sanitizer
    「memory corruption(不正なメモリ書き換えやメモリ操作)」をデバッグするための計測ツールを追加
  • Energy Gauge for iOS
    iOSアプリのエネルギー使用量を可視化するツールを追加

参考資料


iOS/WatchOS/OS XアプリやSafari機能拡張の開発者向けプログラム「Apple Developer Program」

 これまでは、以下のようにアップルプラットフォームごとに開発者プログラムが分かれていました。

  • iOS Developer Program
  • Mac Developer Program
  • Safari Developer Program

 WWDC 2015で、これらの開発者プログラムが「Apple Developer Program」に統一されることが発表されました。今後は1つの開発者プログラムへの加入だけで、全てのアップルプラットフォーム向けの開発を行えます。「iOS Developer Program」「Mac Developer Program」に加入していた場合、アカウントは自動的に更新されています。

 Apple Developer Program加入者が開発可能なものは、下記です。

  • iOS用アプリ
  • WatchOS用アプリ
  • OS X用アプリ
  • Safari機能拡張

 また、開発者プログラムに加入しなくてもApple IDがあればXcodeのベータ版を入手したり、アプリを実機で動かしたりできるようになりました。

比較表

 Apple Developer Program加入・未加入の違いをまとめると、以下のようになります。

Apple IDでサインイン Apple Developer Program(個人) Apple Developer Program(組織)
ベータ版のXcode
Developer Forums
実機での動作検証
ベータ版のiOS/OS X/WatchOS -
App Storeで配布 -
Safari機能拡張 -
Developer ID -
TestFlightでベータテスト -
コードレベルのテクニカルサポート -
チームを管理 - -
費用 無料 99米国ドル 99米国ドル
登録要件 13歳以上 18歳以上 DUNS Number

参考資料

まとめ

 本記事では、WWDC 2015で発表された開発者向けの情報を紹介しました。それぞれの技術的なトピックの概要をつかむことはできましたでしょうか。

 今回扱えなかった項目については、今後引き続きキャッチアップしていきます。iOS 9やWatchOS 2の正式版が出るころまでに、これらの新OSの機能を使ったアプリを出す準備をしておいてはいかがでしょうか。

著者紹介

平屋真吾

クラスメソッド株式会社 iPhoneアプリサービス事業部所属のプログラマーです。iOSアプリの開発がメインですが、デザインやAWSなども勉強中です。

ブログ:http://dev.classmethod.jp/author/hiraya-shingo/


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