TableauなどのセルフサービスBIツールが、BI 市場を席巻しているように見える。だが、IT調査会社のガートナーは、BIの世界が次の段階に進みつつあると指摘する。では、どう進展していくのか。
セルフサービスBIが、BIの世界においてますます大きな存在になってきた。
IT調査会社ガートナーは、セルフサービスBIを「データディスカバリ」と呼んでいるが、同社が2015年2月に発行したレポート「Magic Quadrant for Business Intelligence and Analytics Platforms」では、冒頭で「BIおよびアナリティクスのプラットフォームの市場では、抜本的な変化が進行している。過去10年間、BIプラットフォームへの投資は大部分が、業務管理システム(Systems of Record)のレポーティングを対象とし、IT部門が主導する統合・標準化のプロジェクトに向けられていた。(中略)今では、ITやデータサイエンスのスキルを取得することなく、インタラクティブな分析スタイルおよび高度な分析からの洞察を活用できるように求めるビジネスユーザーの層が拡大している」とし、「ガートナーでは、実質的な新規調達の半分以上をデータディスカバリ関連が占めていると試算している」と述べている。
データディスカバリの象徴的存在であるTableau Softwareは急成長を続けている。「セルフサービスBI」という言葉を以前から使ってきたクリックテクノロジーズは、さらにセルフサービス色を含めたQlik Senseを、2015年初めに正式提供開始した。BI関連製品を提供してきた他のベンダーも、SAP Lumira、SAS Visual Analytics、IBM Watson Analytics、マイクロソフトのPower BIなど、この分野における製品展開を活発化している。
だが、BIおよびアナリティクスを担当するガートナーのリサーチ・バイスプレジデント、シンディ・ホーソン(Cindi Howson)氏は、データディスカバリがBIプラットフォーム市場にもたらしたと同程度のインパクトを持つ画期的な動きが、この市場で今後進展すると断言する。
この動きをホーソン氏は、「ビッグデータディスカバリ」という言葉で表現している。
「ビッグデータディスカバリ」というと、「ビッグデータアナリティクス(ビッグデータ分析)」のためのツールという意味と間違えやすいが、単純に「ビッグデータが扱える」ということを意味しているわけではない。実際、現在のデータディスカバリ(セルフサービスBI)ツールは、一般的にデータアクセスでHadoopなどに対応済みだ。
だが、ビッグデータから有効な知見や洞察を得るためには、データアクセスで対応しているだけでは足りないというのが、ホーソン氏およびガートナーの主張だ。大量のデータから、何をどう分析すればいいのかをガイドする機能などの必要性が、今後広く認識されるようになっていくだろうという。一方、高度な統計分析を、より多くの社内ユーザーが実行できるような支援をするツールも、今後求められるようになっていくという。
つまり、ビッグデータディスカバリはデータディスカバリを基盤とし、ビッグデータおよび高度な統計分析への対応を強めた、より包括的なBIツールであり、これが次のトレンドになっていくだろうとしている。
IT INSIDER No.46 「BIの新たな進展(1):「セルフサービスBI」の次に来る潮流とは」では、BIプラットフォーム市場における新トレンドを探る2回シリーズの第1回として、ビッグデータディスカバリに関するガートナーの説明をまとめました。お読みいただければ幸いです。
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