Windows as a Serviceを正しく理解しませんか――Windows 10とOffice 2016のブランチ更新概論その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(42)(2/4 ページ)

» 2015年10月06日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

Insider Previewで分かる!“アップグレード”は“OSの入れ替え”だ

 Windows Updateで提供されるセキュリティとバグフィックスの更新については、Windows 10の全エディションに提供されます。エディションやBranchモデルによる機能差はありません。

 ただし、Home以外のエディションは、従来のWindowsバージョンと同様、「Windows Server Update Services(WSUS)」や「System Center Configuration Manager(SCCM)」による更新管理が可能です。また、Home以外のエディションは、今後提供予定の「Windows Update for Business」(未提供)で更新を制御することが可能になる予定です。

 各Branchモデルの最も大きな違いは、今後、Windows 10に対して追加提供される新機能の提供タイミングになります。

 Windows Insider Previewでは、開発中の新機能が頻繁に提供され、Windows Insider Preview参加者からのフィードバックにより、品質向上や改善が行われます(Windows Insider Previewの中でも、新機能がすぐに提供される「Fastリング」と、比較的安定したものが提供される「Slowリング」が存在します)。

 例えば、Windows 10のリリース時(ビルド10240)、一部の地域と言語に限定して提供された新しい音声アシスタント機能「Cortana(コルタナ)」は、8月末に提供されたWindows 10 Insider Previewビルド10532で日本語に対応しました(画面2)。9月中旬に提供されたビルド10547では、これまでのMicrosoftアカウントに加えて、ローカルアカウントでもCortanaが利用できるようになっています。

画面2 画面2 Windows Insider Previewのビルド10532で日本語に対応し、ビルド10547でさらに機能強化されたCortana。Windows 10正式版のCBへの提供が近付いている

 こうした新機能はWindows Updateで提供されますが、セキュリティ更新やバグフィックスのような更新プログラムとして実行中のWindows 10に追加されるわけではありません。新機能を含む新しいビルドがWindows Updateを通じてダウンロード提供され、現在のビルドから新しいビルドへのアップグレードが行われるのです(画面3)。

画面3 画面3 新機能を含むビルドがWindows Updateを通じて提供され、Windows 10の新しいビルドへのアップグレードインストールが行われる

 新しいビルドへのアップグレードとは、Windows 7 SP1やWindows 8.1から無料アップグレードした方ならすでに経験済みの、ユーザーデータや設定、アプリケーションを維持しながら行われる“OSのアップグレードインストール”に他なりません。アップグレードには数GBのファイルのダウンロードとインストールでかなりの時間がかかりますし(場合によっては数時間)、PCの再起動が始まると作業することができなくなります。

 「Windows 10は最後のバージョン」かもしれませんが、Windows 10のCB(最適化モデル)のユーザーは年に数回、このようなアップグレードが行われます。マイクロソフトはおおむね4カ月ごとにCBに対して新機能を提供する予定のようです。CBB(企業向け最適化モデル)に対しては、新機能がさらに4カ月遅れで提供され、CBへの提供から最大8カ間、新機能の導入を延期することが可能です。

 企業のIT担当者の方は、Windows 10を導入すると少なくとも年に1回はOSのアップグレードがあることを覚悟した方がよいでしょう。より長いスパンで同じビルドを使い続けることができるのは、LTSB(固定化モデル)だけということになります。

 Insider PreviewビルドとCBの関係を、これまでの実際の状況を踏まえて時系列で示すと、以下の図1のようになります。

図1 図1 Insider PreviewビルドとCB(最適化モデル)の関係。Windows Insiderによるフィードバックにより完成した新しいビルドが、正式版としてCBに対して提供される

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