シスコの認定資格「CCENT/CCNA」のポイントを学ぶシリーズ。今回は、ルーターでDHCPサーバーを稼働させるための設定方法を解説します。
ネットワーク初心者がCCENT/CCNAを受験するために必要な知識を学ぶ本連載。前回は、シスコシステムズが発表しているCCENT試験内容の4.8「VLAN間ルーティング(「ルーター オン ア スティック」方式)」の設定と確認」の範囲を解説しました。
今回は5.1「DHCP(IOS ルーター)の設定と確認」の範囲を説明します。
ネットワークを構築する際、一般的には1台以上のLinuxマシンやWindowsマシンでDHCPサーバーを構築します。サーバー機だけではなく、シスコシステムズのルーターでもDHCPサーバーを稼働できます。今回は「そもそもDHCPとは何か」と「ルーターでDHCPサーバーを稼働させるための設定方法」を中心に説明します。
DHCPの正式名称は「Dynamic Host Configuration Protocol」です。日本語にすると「動的にホストの設定をする規約」という意味です。もっと簡単に言うと「IPv4アドレスをクライアントPCに設定するためのプロトコル」です。IPv6アドレスで使うプロトコルは「DHCPv6」です。
DHCPを使用してクライアントPCが自動でIPv4アドレスを取得するために、DHCPサーバーとクライアントの間でメッセージの交換を行います。一連のメッセージ交換を行うと、クライアントPCが使用できるIPv4アドレスを決定します。
この段階では、クライアントのIPv4アドレスは未設定ですが、ブロードキャストフレームをネットワーク全体に送信すると、DHCPサーバーへメッセージを送れます。DHCPサーバーからクライアントへの応答は、(クライアントが「DISCOVER」で送信時に設定している)送信元MACアドレスにユニキャストフレームで返信します。
DHCPサーバーは、Windowsサーバーなどで設定できます。クライアントPCのMACアドレスを事前登録しておくと、同じクライアントPCに同じIPv4アドレスを割り当て(予約)られます。ルーターで設定できるDHCPサーバーでも一応同じことができますが、クライアントPC1台ごとに「アドレスプール(DHCP設定のセットと思ってください)」を含めた個別設定が必要です。
DHCPはブロードキャストフレームを使用するため、同じネットワークセグメント内にDHCPサーバーとクライアントPCの両方が必要です。これは「ネットワークの数だけDHCPサーバーが必要」ということです。現実にはネットワークの数だけDHCPサーバーを用意できないこともあります。そのときに使用する機能が「DHCPリレー」です。
DHCPリレーは「別のネットワークに存在するDHCPサーバーへDHCPメッセージを転送」します。DHCPリレーの機能を設定したデバイス(一般的にルーター)を「DHCPリレーエージェント」と呼びます。リレー先のDHCPサーバーのIPアドレスを指定すると、DHCPサーバーへ届くメッセージはユニキャストになります。
DHCPサーバーがクライアントへIPv4アドレスを割り当てるアドレスの範囲を「アドレスプール」と呼びます。割り当てるIPアドレスはネットワークセグメントの形で定義します。デフォルトゲートウェイとして使用するルーターのインターフェースに設定したIPアドレスもDHCPによる割り当ての範囲に含まれるので、事前にDHCPによるアドレス割り当ての対象から除外するべきです。
除外アドレスを宣言するコマンドは「Router(config)# ip dhcp excluded-address」です。
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