損益計算書に登場する5つの利益“+1”2015年版お茶でも飲みながら会計入門(102)(2/3 ページ)

» 2015年11月30日 05時00分 公開

【2】5つの利益の違い

 各利益は、一つ前の利益から「収益(プラス項目)」と「費用(マイナス項目)」を加減して算定します。大ざっぱにいうと、上にいくほど本業だけの成果に近づき、下にいくほど本業とは無関係なものや臨時のものも含めた成果になります。

(1)売上総利益

 「売上高」−「売上原価」=「売上総利益」です。

 売上高は、企業が顧客に商品やサービス提供してもらう「代金」の合計です。例えば300円のモバイルアプリを1個売れば、300円が売上です。

 売上原価は、顧客に提供した商品やサービスに掛かった「費用」の合計です。モバイルアプリ開発の場合は、「労務費」や「開発ソフト費用」などが相当します。

 

(2)営業利益

 「売上総利益」−「販売費及び一般管理費」=「営業利益」です。

 企業は通常、商品やサービスの提供以外にもさまざまな費用を掛けています。モバイルアプリ開発の場合には、Webサイトで宣伝したり、経理業務を行う人を雇ったりします。Webサイトを作るにも人を雇うにも。お金が掛かります。

 宣伝活動など営業に関する費用を「販売費」、管理部門スタッフの人件費など間接部門に対する費用を「一般管理費」と呼びます。これらの費用を差し引いたものが、営業利益です。

 営業利益は、文字通り営業活動で得られた利益で、会社の本業の調子を示すものです。

(3)経常利益

 「営業利益」+「営業外収益」−「営業外費用」=「経常利益」です。

 営業外収益、営業外費用は、営業活動以外の部分から毎期発生する損益です。例えば「支払利息」は、借入金から発生した財務活動による費用なので、営業外費用となります。

 経常利益は、本業だけではない毎期発生する収益・費用も加味した成果です。

(4)税金等調整前当期純利益(税引前当期純利益)

 「経常利益」+「特別利益」−「特別損失」=「税金等調整前当期純利益(税引前当期純利益)」です。

 特別損益とは、今期たまたま発生した臨時項目です。例えば、モバイルアプリ開発会社が本社ビルを売却して発生した「売却益」で得た「臨時のもうけ」は、特別利益です。

(5)少数株主損益調整前当期純利益(損益計算書の当期純利益)

 「税金等調整前当期純利益(税引前当期純利益)」−「法人税等と法人税等調整額」=「少数株主損益調整前当期純利益(損益計算書の当期純利益)」です。

 会社が得る利益には、一定率(30〜40%程度)の税金が掛かります。それが法人税等です。法人税等調整額は、「税効果会計」と呼ばれる会計基準による法人税等の調整です。

(6)(連結損益計算書の)当期純利益

 「少数株主損益調整前当期純利益」+−「少数株主損益」=「当期純利益」です。

 過半数の議決権を持つなどして支配している会社を「グループ会社」と呼びます。グループ会社には他の株主がいる場合があり、それらを「少数株主」と言います。少数株主分の利益や損失が少数株主損益です。

 今までの流れをイラストで見てみましょう。

 ややこしいので少し整理すると、当期純利益とは損益計算書の最終的な計算結果です。そのため「最終利益」と呼ばれることもあります。新聞などで「純利益」と書かれている場合も、当期純利益だとお考えください。

 6つの利益を解説しましたが、重要なのは3つです。

  1. 営業利益
  2. 経常利益
  3. 当期純利益

 まずは上記3つをマスターしてください。

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