第3回 OpenCVの環境構築(OpenCV 3.0/3.1)OpenCV入門【3.0対応】(2/3 ページ)

» 2016年03月18日 05時00分 公開

3. CMakeを使ったライブラリのビルド

3.1 CMakeとは

 CMakeとは、同じソースツリーからさまざまなコンパイラー向けにビルドを行えるようにするツールで、マルチプラットフォーム対応のOSS(オープンソースソフトウェア)の開発で広く使われています。CMakeを使ったビルドの基本的な流れは以下の通りです。

  • CMake設定ファイル(CMakeLists.txtファイル)の記述を基に、指定したコンパイラー向けのビルド用ファイルを生成する
  • ビルド用ファイルを用いてコンパイラーでビルドする

3.2 CMakeのインストール

 今回の説明では、2016/2/4時点で最新のCMake 3.4.3を用いて環境構築を行うこととします。

(1) まず、CMake公式サイトから[cmake-3.4.3-win32-x86.exe]ファイルをダウンロードして実行します。インストーラーが起動するので、基本的にはデフォルトの場所にCMakeを配置してください(デフォルトではC:\Program Files (x86)\CMake以下に配置されます)。

(2) また、コマンドプロンプトからCMakeを実行する場合には、環境変数に以下のパスを追加してください(環境変数の設定方法は、「公式パッケージを使ったインストール」の節で説明した方法と同じです)。

変数名 変数値
Path C:\Program Files (x86)\CMake\bin
追記する変数値

 コマンドプロンプトを起動し、cmake --versionコマンドを実行して以下のようなメッセージが表示されていればCMakeの環境変数設定が正しく行われています。

cmake version 3.4.3

CMake suite maintained and supported by Kitware (kitware.com/cmake).


CMakeのバージョンを確かめるコマンドの実行例

3.3 OpenCVのソース取得

(1) OpenCV 3.1配布ページから[Source code (zip)](=opencv-3.1.0.zip)をダウンロードします。

図7 システム変数の編集 図7 システム変数の編集

(2) ダウンロードした「opencv-3.1.0.zip」ファイルを展開して、適当な場所に配置します。以降の説明は「C:\dev\opencv-3.1.0」に配置したものとして説明を行います。

3.4 ソリューションファイル生成

 OpenCVのライブラリをビルドするためのVisual Studioソリューションファイルを、以下の手順で生成します。

図8 CMakeインストール先の「C:\Program Files (x86)\CMake\bin」フォルダー内にある「cmake-gui.exe」ファイルを実行し、所定のパスを設定した後、[Configure]ボタンを押します 図8 CMakeインストール先の「C:\Program Files (x86)\CMake\bin」フォルダー内にある「cmake-gui.exe」ファイルを実行し、所定のパスを設定した後、[Configure]ボタンを押します

図9 [Yes]ボタンを押して処理を続行します 図9 [Yes]ボタンを押して処理を続行します

図10 コンパイラーを指定して、[Finish]ボタンを押します 図10 コンパイラーを指定して、[Finish]ボタンを押します

図11 設定をカスタマイズした後に[Configure]ボタンを押し、最後に[Generate]ボタンを押すことで、ソリューションファイルを生成できます 図11 設定をカスタマイズした後に[Configure]ボタンを押し、最後に[Generate]ボタンを押すことで、ソリューションファイルを生成できます*7

*7 システムにCUDAがインストールされており、かつ、「WITH_CUDA」にチェックが入っている場合はCUDAを使った機能を有効にできますが、ビルド時間が非常に長くなる(環境によっては数時間掛かる)ので、不要な方は「WITH_CUDA」のチェックボックスでチェックを外しておきましょう。


3.5 ビルド

 Visual Studioで(本稿の内容通りの場合は「C:\dev\opencv-3.1.0\build」フォルダーにある)「OpenCV.sln」ファイルを実行して、それにより起動したVisual Studioで「INSTALL」プロジェクトをビルドします(図12)。

図12 ソリューション、プラットフォーム構成を指定して「ビルド」を実行します 図12 ソリューション、プラットフォーム構成を指定して「ビルド」を実行します

 ビルドが完了すると、下記のパスにファイルが配置されます。

図13 配置されるファイルパスの一覧 図13 配置されるファイルパスの一覧

3.6 環境変数設定

 環境変数にOpenCVのDLLファイルが格納されたパスを追加してください。なお以下のパスは、VS 2013でx64ビルドを行ったライブラリを参照する場合の例です。

変数名 変数値
Path C:\dev\opencv-3.1.0\build\install\x64\vc12\bin
追記する環境変数値

 ここまでで、CMakeを使った環境構築は完了です。

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