OpenStack Foundationが2016年4月7日(米国時間)に発表した13番目のリリース、Mitakaで最も注目されるのは、OpenStack Clientをはじめとする使い勝手と運用の改善だ。
クラウド基盤ソフトウェアOpenStackを開発しているOpenStack Foundationは2016年4月7日(米国時間)、13番目のリリースであるMitakaを発表した。
OpenStackでは最近、仮想マシン、ベアメタル(物理サーバ)、コンテナを単一のAPI群で利用できる「統合エンジン」の実現を目指した開発努力が続けられている。今回のリリースでも、ベースとなるコンピュート、ストレージ、ネットワーク関連は、成熟段階に入っているものの、多様な改善と機能追加が見られる。一方で、導入、運用、利用、コンテナ、ビッグデータなどに関する機能強化を目的としたサブプロジェクトの活動が活発化してきた。
OpenStack FoundationはMitakaの注目点として、エンドユーザーにとっての使い勝手の向上と、導入・運用担当者にとっての管理性の向上を特に強調している。
使い勝手向上をもたらすポイントの一つはOpenStack Client。これは、コンピュート、アイデンティティ、イメージ、オブジェクトストレージ、ブロックストレージといったサブプロジェクトを対象に、一貫したコマンド体系を実現し、単一のシェルで操作できるようにしたコマンドライン・クライアント。仮想化リソースの作成、読み出し、更新、削除などの作業が、単一の流れの中で行える。
OpenStackでは、これまでサブプロジェクトごとに、個別のAPI/操作体系を提供してきた。今後は全ての新旧プロジェクトにまたがる、包括的で統一的なAPI群が整備されていくことになる。
OpenStack環境を構築する人々からは、デフォルト設定を充実させてほしいとの要望が寄せられてきた。構築時にどのようなパラメータを設定するのが適切かが分からないため、後で苦労することになりかねないからだ。Mitakaリリースでは、コンピュート機能のNovaで、デフォルト設定を追加し、構築担当者が手動で選択する部分を減らしたという。
また、OpenStackで、オートスケーリングなどのオーケストレーション機能を実現するプロジェクトであるHeatも進化している。Heatは、運用担当者が必要なリソースを具体的に指定する「テンプレート」を基に、複数の仮想インスタンスからなる環境の構築作業を自動化していた。しかし、これではリソース管理が硬直的になりがちであるため、前リリースのLibertyから、望ましい状態に向けたより能動的なリソースオーケストレーション機能が追加的に提供されるようになった(Convergence Engineと呼ばれる)。Mitakaでは、この機能が、より複雑、大規模な構成に対応したという。
Mitakaリリースへのコントリビューションをランク付けしたStakalyticsのデータを見ると(上の図)、組織で最多だったのは米ミランティス。前リリースのLibertyでは、HPが第1位だった。日本企業では、NECが第8位に登場している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.