オラクルはクラウド戦略を語る上で、オンプレミスでもクラウドでも「同じように使える」「クラウドからオンプレミス“にも”戻せる」ことを何度も説明する。続いて登壇した同社 PaaS事業推進室 室長の竹爪慎治氏も、「どの環境でも、同じアーキテクチャ、同じ製品、同じノウハウを使えるようにして、企業のクラウド移行を支援する方針を明確に伝えるため」とし、その戦略を後押しするサービスである「Oracle Cloud Machine」のメリットを強調した。
Oracle Cloud Machineは、同社のパブリッククラウドサービスである「Oracle Cloud」と完全互換のIaaSとPaaSを自社データセンター内に置き、サブスクリプションで提供するサービスとなる。
Oracle Cloudとの違いは、実体となるハードウェアがどこにあるのか。つまり、オラクルのデータセンターにあるのか、自社データセンターにあるのかだ。Oracle Cloud Machineでは、Oracle Cloudで稼働するものと同じハードウェアが貸し出され、ファイアウォールの内側にある自社のデータセンターに置ける。これにより企業は、一般的なパブリッククラウドでは実現できなかった、「重要なデータが社外へ出ないようコントロールする」ことが可能になる。
グローバルで展開する他社パブリッククラウドサービスにおいても、日本国内のデータセンターのみを使うことで「海外へデータは出ない」ようコントロールする手段は既に一般的だ。さらに「社外へデータは出ない」を実現するために、自社の要件に合わせたプライベートクラウド環境を構築して対策する手段もある。しかし、そうするためには既存のオンプレミス環境や他のパブリッククラウド環境と連携や統合のためのコストや独自のノウハウが必要となる。さらに、オンプレミスからクラウドへの一方通行(失敗できないこと)が不安といった新たな課題も発生する。
“専有パブリッククラウド”と位置付けるOracle Cloud Machineは、パブリッククラウドのメリットを享受しながら、セキュリティ面や法規制により「物理的にデータを外部に出せない」事情のある企業に向け、パブリッククラウドの利便性とプライベートクラウドにおけるデータ管理の課題解消を両立させたサービスだとオラクルはアピールする。
「Oracle Cloud MachineはOracle Cloudと互換性があるため、パブリッククラウドであるOracle Cloudと併用することも可能。例えば、普段はOracle Cloud Machineを使いつつ、一時的に負荷が高まり処理能力を超えたら、Oracle Cloudに処理を振り分ける、“クラウドバースティング”と呼ばれる対策も取れます。Oracle Cloud Machineは、“データのありか”を重視する日本のお客さまに、特に評価いただけると思います」(竹爪氏)
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