マイクロソフト、オープンソースのブロックチェーンアーキテクチャ「Project Bletchley」を発表オープンなブロックチェーンプラットフォームを提供するためのアプローチ

米マイクロソフトは、エンタープライズブロックチェーンを実現するためのアーキテクチャ「Project Bletchley」を発表した。

» 2016年06月17日 11時00分 公開
[@IT]

 米マイクロソフトは2016年6月15日(米国時間)、オープンソースのブロックチェーンアーキテクチャ「Project Bletchley」を発表した。

 Project Bletchleyに関するホワイトペーパーによると、Project Bletchleyは、新しいブロックチェーンスタックではなく、「企業がビジネス課題の解決に向けた実際的なソリューションを構築するのに役立つオープンな分散レジャー(ブロックチェーン)プラットフォームを提供するためのマイクロソフトのアプローチ」と説明されている。

photo Project Bletchleyの3層アプローチ

 マイクロソフトは2015年11月に、「Microsoft Azure Blockchain as a Service(BaaS)」をリリースして以来、企業やパートナーと密に連携することで主要な業界シナリオを理解し、ブロックチェーンを企業、政府、人々に提供する技術やエコシステムの開発に取り組んできたとしている。その過程でアーリーアダプターから寄せられた声を踏まえ、Project Bletchleyはブロックチェーンのアーキテクチャとして、以下の要件を満たすことが必要と定義している。

  • プラットフォームはオープンでなければならない
  • ID、鍵管理、プライバシー、セキュリティ、運用管理、相互運用性のような機能が統合されている必要がある
  • パフォーマンス、スケーラビリティ、サポート、安定性が極めて重要である
  • コンソーシアムブロックチェーン(許可されたコンソーシアムメンバーのみが契約の実行のために利用できるネットワーク)が理想である

 Project Bletchleyでは、「Microsoft Azure(以下、Azure)」がブロックチェーンのファブリックを提供し、分散アプリケーションの構築のためのクラウドプラットフォームとしての役割を果たす。マイクロソフトは、世界24リージョン(2016年6月現在)より提供するAzureのデータセンター環境、ハイブリッドクラウド機能、幅広いコンプライアンス認定の取得、エンタープライズグレードのセキュリティといった特徴によってブロックチェーンの導入を後押しできるとしている。特に、金融サービスや医療、政府機関など、規制の厳しい業種でこの効果が期待できるという。

 マイクロソフトは各種のブロックチェーンプロトコルにオープンに対応していく方針も示している。Linux Foundation主催のブロックチェーンプロジェクトである「Hyperledger」などで使われる「Unspent Transaction Output(UTXO)」ベースプロトコルや、分散型アプリケーション構築プラットフォーム「Ethereum」で使われる高度なプロトコルなど、今後開発されるプロトコルをサポートする考えだ。

 また、Project Bletchleyでは、マイクロソフトがエンタープライズブロックチェーンアーキテクチャに不可欠と考える「ブロックチェーンミドルウェア」と「クリプトレット」という2つの新要素が導入されている。

 ブロックチェーンミドルウェアは、IDや運用管理といったクラウドにおけるコアサービス機能に加え、分析や機械学習のようなインテリジェンスサービスを用意する。新しく開発されるミドルウェアは既存のAzureサービス(Azure Active DirectoryやAzure Key Vaultなど)や、ブロックチェーンエコシステム技術と連携して機能し、総合的なプラットフォームやソリューションセットを提供する。

 クリプトレットはブロックチェーン技術の新しいビルディングブロックであり、Azure、エコシステムミドルウェア、顧客の技術との安全な相互運用を実現する要素だ。クリプトレットは、日付と時刻などのトランザクションや契約を実行するために追加情報が必要になった場合に機能する。クリプトレットは高度なブロックチェーンシステムの基幹コンポーネントとなり、全ての技術が安全かつスケーラブルな方法で連携することを可能にするものとしている。

photo Project Bletchleyのクリプトレット

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