2016年は、さまざまな仮想現実を採用した製品がリリースされ、「VR元年」とも言われている。では、この仮想現実とはどういったものなのだろうか、類似して語られることが多い「拡張現実(AR)」や「複合現実(MR)」についても説明しよう。
2016年は、Oculus(オキュラス)の「Oculus Rift」やソニーの「PlayStation VR」など、「仮想現実(Virtual Reality:VR)」を採用した製品のリリースが続いており(PlayStation VRは2016年10月発売予定)、「VR元年」とも言われている。
この仮想現実とはどういったものなのか、類似して語られることが多い「拡張現実(Augmented Reality:AR)」や「複合現実(Mixed Reality:MR)」についても併せて説明しよう。
コンピュータで作成した現実のような世界をゴーグル型デバイス(スマートフォンを取り付ける簡易なタイプもある)を使って立体視で見ることで、その世界を体験するのが「仮想現実(VR)」である。ゴーグル型デバイスには、ジャイロセンサーや加速度センサーなどが搭載されており、これらのセンサーと連動することで見る方向に合わせて映像を動かすことで、仮想空間でありながら現実のような感覚を得ることができる。
仮想現実は、主にゲーム用途が先行しているが、自動車や船舶、建築物の設計・製造現場、医療現場などの一部で仮想現実が利用され始めている。
なお仮想現実では、「VR酔い」と呼ばれる乗り物酔いに似た症状が生じることが知られている。これは、実際には移動していないにも関わらず、仮想現実の中で移動することで、視覚と三半規管の感覚に不一致が生じて起きるといわれている。また、VRデバイスの利用により「斜視(左右の目が異なる方向を見ている状態)」になるリスクが高まるともされており、特に13歳未満の子供の場合は利用が推奨されていない。
「拡張現実(AR)」とは、スマートフォンやタブレットなどに表示した現実世界と付加した情報により、現実世界と仮想世界を一体化するもの。Google Glassなどの眼鏡型デバイスを利用する例も出てきている。
例えば、GPSなどの位置情報を利用して、スマートフォンなどのカメラで撮影した実際の画像の上に、関連する情報を付加して表示したり、印刷物に印刷された特別なマーカー情報を読み取って、印刷物上に3次元のキャラクターなどを表示したりする。
拡張現実を採用したアプリとしては、すでにサービスが終了してしまったが頓智ドット(現、tab)が提供していた「セカイカメラ」や、森永製菓が「チョコボール」のパッケージを使った「キョロちゃんの遊べるAR(「チョコボール」の箱をスマートフォンのカメラで撮影すると、スマートフォン上にゲームが表示される。スマートフォンを動かすことで、表示されたキャラクターなどを動かして遊べる)」など、すでに多くの事例がある。
「複合現実(MR)」とは、コンピュータで作成された立体視可能な仮想空間と現実世界をリアルタイムで融合する技術である。これにより、現実映像の中にあたかもそこにあるようにコンピュータグラフィックスを合成することができる。
例えば、東京女子医科大学などが開発している複合現実を用いた脳神経外科手術では、事前に撮影した患者のCTやMRIの画像を実際の患者の頭部に重ね合わせることで、脳腫瘍などの部位を正確に切除できるようになったという。
「仮想現実」「拡張現実」「複合現実」の違いを簡単にまとめると下表のようになる。
概要 | 対応デバイス | ||
---|---|---|---|
仮想現実 | Virtual Reality | 現実世界に似せた空間をコンピュータグラフィックスまたはビデオなどで制作し、ヘッドアップディスプレイを利用して立体視可能としたもの | Oculus Rift、PlayStation VRなど |
拡張現実 | Augmented Reality | 現実世界に対してデジタル情報を重ね合わせたもの。立体視できる必要はない。 | Google Glass、スマートフォンなど |
複合現実 | Mixed Reality | ARを拡張し、透過型のヘッドアップディスプレイを利用して現実世界の中に立体視可能な仮想世界を融合したもの | MREAL、HoloLensなど |
VR/AR/VRの違い |
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