沖縄銀行で、金融知識を備えたPepperの運用が開始された。リクルートテクノロジーズの自然言語処理技術「TAISHI」を備え、特定業種の接客能力を高めた。
リクルートテクノロジーズは2016年10月19日、沖縄銀行が持つ人型ロボット「Pepper」に、金融知識と文脈考慮技術を実装し、同行5店舗の店頭で活用を開始したと発表した。一般的な会話やコミュニケーションだけでなく、金融に関する接客業務も担わせる。高齢者など、日ごろITに接する機会の少ない層に対しても、ITのバリアフリー化を実現する足掛かりにしたいとしている。
沖縄銀行のPepperには、リクルートテクノロジーズが自然言語処理技術を基に開発した会話エンジン「TAISHI」を実装。会話の文脈を考慮した上で、「現在のローン金利は?」といった金融分野に関する問いかけにも回答できるようにした。
TAISHIが備える文脈考慮技術では、特定の質問に対して返答するだけでなく、直前の会話の内容(文脈)を次の対話に反映させることで、利用者との対話を主体とした、より具体的な接客ができるようになるとする。例えば利用者が「金利」に関して質問した場合、これまでの会話から「ローン金利」なのか「預金金利」なのかを判別して、的確な回答を行うという。
TAISHIは、基本会話辞書の他に、特定の業種や業態に特化した「独自辞書」を付加して会話のレパートリーを拡張する仕組み。今回の辞書は、金融分野の専門用語や質問の回答、銀行業務に関連する対話を想定したが、業態/業種ごとに専門の辞書を追加することで、適用業種を拡大できる。また、クラウドベースのサービスのため、Pepperに限らず、Webサービス、スマートデバイス、コネクテッドカーなど、あらゆるデバイスへの適用も可能という。
金融知識を備えたPepperは、沖縄銀行の本店営業部、新都心支店、牧港支店、山内支店、名護支店の5店舗に導入され、ATMの利用時間や手数料、預金や融資商品の案内、住所変更など諸届けの手続き方法の案内、Pepperが備えるタブレットを利用したアンケートによる来店者のニーズ把握などに利用する。
今後は、TAISHIに蓄積された応答内容を分析して改良を施す他、方言やインバウンド需要に備えた複数言語への対応なども予定。最終目標として、Pepperが来店者と対話した内容/データを窓口の行員と連携させたり、県内の地価情報など外部のデータを会話に反映させたりすることで、来店者との取引契機の拡大を図るという。
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