IBMとNVIDIAが、エンタープライズ向けディープラーニングソリューションで提携。ディープラーニングソフトウェアツール群「IBM PowerAI」を投入し、NVLink搭載IBM POWERサーバを組み合わせたアプライアンスによるソリューションを提供する。
米IBMと米NVIDIAは2016年11月14日(米国時間)、エンタープライズ向けディープラーニングソリューションで提携すると発表。ディープラーニングソフトウェアツール群「IBM PowerAI」を投入し、NVLink搭載IBM POWERサーバを組み合わせたアプライアンスを用意する。
ディープラーニングソフトウェアツールキット「IBM PowerAI」は、最近発表されたIBMのコグニティブ用HPC(High Performance Computing)サーバで動作するもの。このサーバは、IBMのPOWERアーキテクチャに最適化されたNVIDIAの高速相互接続技術「NVLink」を実装し、GPUコンピューティングを用いた処理に適する構成としている。
同ソリューションは、ディープラーニングフレームワーク「Caffe」を用いてディープニューラルネットワーク「AlexNet」を実行する場合に、4GPU(Graphics Processing Unit)搭載の同等サーバと比べて2倍以上のパフォーマンスを実現。同じ4GPUのPOWERベース構成で「BVLC/Caffe」を使ってAlexNetを実行する場合も、NVIDIAのサーバ向けGPU「Tesla M40」を8個搭載するx86サーバを上回るパフォーマンスを実現するという。これらにより、このソリューションは2つの主要なディープラーニングフレームワークの使用時において、市販のエンタープライズ向けディープラーニングプラットフォームとして2016年11月現在、世界最速だとうたっている。
BVLC/Caffeは広く使われているディープラーニングフレームワークで、IBM PowerAIツールキットで利用できる5種類のディープラーニングソフトウェアフレームワークの1つ。同ツールキットは、NVIDIAが提供するSDK(Software Development Kit)の一部として「NVIDIA GPUDL」ライブラリ(cuDNN、cuBLAS、NCCLを含む)を利用し、IBMサーバ上でマルチGPUアクセラレーションを実現する。
IBM PowerAIは、IBMの「OpenPOWER LC」ラインアップの中で、現時点最もパフォーマンスの高いサーバである「IBM Power S822LC for High Performance Computing(HPC)」で動作するように設計されている。
IBM PowerAIと同サーバの組み合わせによって、新しいAI(Artificial Intelligence:人工知能)コンピューティング方法、特にディープラーニングを強力にサポートする。また、IBM PowerAIの利用成果を、IBMのコグニティブプラットフォームである「Watson」の活用につなげることもできる。幾つかのディープラーニング方法を使ってWatsonを訓練し、さまざまなエンタープライズ領域のAIノウハウをWatsonに適用することが可能だ。
IBM PowerAIは、発表と同時にIBM Power S822LC for HPCサーバの顧客に無料で提供開始される。S822LCサーバ1台の構成から、大規模な数十台〜数千台のスーパーコンピューティングクラスタ用にスケーリングすることもできる。
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