今回、実際に環境を構築して検証を行ったが、手こずることが多く、かなり時間がかかってしまった。新しい製品が多く、Apache Mesos以外はインターネット上で入手できる情報もあまり多くなかった。さらに製品のバージョンアップにより、公開されているガイドや情報では正しく動作しないことがあり、何度も設定を変えながら動かし方の模索を繰り返すことになった。
本番運用に使用する場合、製品のバージョンアップは不可避であるため、検証環境を準備し、最新状態での手順や動作を確認することが必須となる。
ただし、今後はShipyardやRancherなどのように、コンテナを導入するのみで構築できるように各製品も改良が進んでいくと考えられる。Docker SwarmもDocker 1.12から非常に簡単にクラスタリング、オーバーレイネットワーク接続が行えるようになった。Docker 1.12対応が進んでさらにシンプルな構成となることで、構築負荷も軽減されていくであろう。
実際に動く状態となってからは、どのツールも基本的にGUIを操作するだけで必要なコンテナを起動することができた。利用者の視点では「どのサーバで、どのコンテナが動作しているか」を意識する必要があまりなかった。
Docker社もDocker Datacenterをリリースしており、「利用者がセルフサービス的にアプリケーションの作成と展開を行うことができる環境」を実現しようとしている。Docker Datacenterではコンテナイメージ自体を生成するところから、コンテナの配布までのライフサイクルの管理までを目指している。Docker社はこの環境をCaaS(Container as a Service)と呼んでいる。Docker Datacenterの機能と課題については、TechTargetジャパンの「Dockerの新世代ユーティリティーが『コンテナ管理の決定版』になれない理由」にまとめられている。
このCaaSの実現は各ベンダーとも目標としており、群雄割拠の状態である。各製品の特長や今後の動向を把握し、目的に即した製品を選定して利用することが必須となるだろう。今後もこれから現れるであろう競合製品も含めて注目していきたい。
森元 敏雄(もりもと としお)
R&D部門である戦略技術センター所属。
金融系の大規模システム開発やプライベートクラウド開発環境の構築・運用の経験を生かし、OSS製品を中心とした技術調査・検証を担当。
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