IDCジャパンは、国内データセンターインフラストラクチャマネージメント市場の予測を発表。2021年には約35億円規模まで拡大すると予測し、「今後のデータセンターは、電力の可視化だけでなく、その結果を運用プロセスに組み込んだ運用体制にすることが重要」と提言する。
IDCジャパンは2017年1月16日、国内データセンターインフラストラクチャ管理ソフトウェア(DCIM)市場の予測を発表した。
DCIMは、データセンターやサーバルーム内のサーバやストレージ、ネットワークといった機器と、電源装置、空調などの設備の両方を管理するソフトウェアやソリューションを指す。機器や設備の資産管理に加え、機器の消費電力や室内の温度を監視し、データセンターにおける機器と設備の稼働状況を一元管理する。
2016年の市場規模は約9億円。機器と設備の両方を一元管理するDCIMの需要はまだ低い傾向だが、今後、事業者データセンターを中心に導入が進むとし、2021年には35億円規模まで拡大すると予測される。
近年、企業のクラウド普及に伴い、データセンターサービスの競争が激しくなっている。データセンターの建設コストを回収しにくくなっていることに加え、より多くの電気設備や冷却設備を要求するクラウド環境の実装が拡大していることから、データセンターの運営コストも上昇傾向にある。この運用効率を改善と電力コスト削減の手段として国内でも需要が高まるとIDCでは予測する。
DCIM市場における2016〜2021年のCAGR(Compound Annual Growth Rate:年間平均成長率)は30.5%と、高い成長が予測される。ただし、当面のDCIM導入意向はデータセンター運転状況の可視化を目的としたものが多い傾向が続くとも予測される。同社でITサービスのリサーチマネジャーを務める伊藤未明氏はデータセンター事業者に対し、「DCIMの導入効果をフルに実現するには可視化するだけでは足りない。可視化された運用状況データを分析し、その結果を運用プロセスに組み込むことが重要である」と提言している。
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