IDCジャパンが、国内データセンターの電力供給能力に関する2016年調査結果を発表。IDCはデータセンターの仕様を面積やラック数ではなく、ラック当たりの電力供給能力で示すことが重要と提言。新しいデータセンターであるほど高効率で、需要が増える半面、古いデータセンターを運用する事業者の課題も浮き彫りになった。
IDCジャパンは2016年12月8日、国内データセンターにおける電力供給能力に関する調査結果を発表した。
データセンターのキャパシティーは一般的に、面積や収容可能なサーバラック数で表されることが多い。しかしIDCは、今後のクラウド時代における需要増に沿い、データセンターはラック単位での電力供給能力(W:ワットまたはVA:ボルトアンペア)で効率性を示すことが重要と提言。今回の調査は、センター内に設置されるICT機器への電力供給能力で推計している。
国内データセンターに収容されるサーバラック1本当たりの電力供給能力は、2016年末時点で平均2.87kVAと推定される。これを設備竣工年代別に見ると、1999年以前に竣工したデータセンターはサーバラック1本当たり平均1.35kVA、2000〜2009年に竣工したデータセンターは同2.62kVA。対して、2010年以後に竣工したデータセンターは同6.02kVAと、全体平均を大きく上回った。
この傾向の理由は、サーバの処理能力向上と小型化の推進に加えて、2000年代後半から仮想化によるサーバ集約が進んだことにより、ラック内のサーバ集約度が高まったことが挙げられる。新しいデータセンターほどその需要を満たすために効率化され、ラック当たりの電力供給能力が高くなる。
IDCではこの傾向を踏まえ、「サーバ統合やクラウド環境を利用するニーズにおいて、古いデータセンターの電力供給能力ではそれをカバーできないことから、古いデータセンターでこれまで運用されてきたICT機器が次々に新しい高効率なデータセンターへ移設されつつある。このため、最新仕様のデータセンターに対する需要が伸びる一方で、古いデータセンターの稼働率が低下することから、古いデータセンターの収益力は落ちていく」と予測する。IDCジャパン ITサービス リサーチマネジャーを務める伊藤未明氏は、「顧客のサーバ群が設置されている限り、古いデータセンターの運用は停止できない。このため、古いデータセンターを運用する事業者にとっては、この先、余剰キャパシティーをいかに削減するかが課題になる」と述べた。
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