「米国では、いや日本以外の国では、理系出身者しかITエンジニアになれない」「文系エンジニアというものは海外には存在しない」――このようなウワサを聞いたことはないだろうか。日米のエンジニアが文系エンジニアについて真剣に解説する前後編。後編は、シリコンバレー在住のエンジニアが、米国の採用事情や学歴の考え方、そして文系エンジニアはシリコンバレーに存在するのか、を解説する。
「文系エンジニアは世界では通用しない」という話を聞いたことがあるだろうか? 米国やインドなどでITエンジニアになるためには、プログラミングのバックボーンや理系の学歴が必須、という話だ。
日米の「文系エンジニア」事情を前後編でお届けする本特集。前編は、文系エンジニアが誕生した経緯、そもそも文理の違いとは何か、などの日本の実情を、IT企業でエンジニアの採用や生産性向上に携わるエンジニア「きのこる先生」に解説してもらった。
後編は、シリコンバレー在住の日本人エンジニアが米国事情をお届けする。文系エンジニアは本当に海外で通用しないのか?
こんにちは。シリコンバレーの半導体メーカーでソフトウェアエンジニアをしております、@elcaminoreal255と申します。@ITの「エンジニアライフ」で、シリコンバレーのITエンジニアの日常を伝えるコラム「エルカミノリアルは今日もバグだらけ」を書いています。
「シリコンバレーのIT業界では文系卒でもITエンジニアとして通用するのか?」という御題。結論から書くと、残念ですがかなり難しいです。
いや、通用するかどうかではなく、まず採用されるのが一苦労です。米国の採用システムでは、日本、米国どちらの大学を卒業したかにかかわらず、理工系以外の学部卒でITエンジニアとして採用されるのは、どうしても無理があります。
これはIT業界に限ったことではありませんが、米国の求人情報は、細かい職種に分類されています。「募集:プログラマー1人、テスト担当1人」という感じです。
日本では一般的な、「新卒一括採用」や「総合職としてまとめて採用して、入社後に人事部が各人の適性を見て配属先を決定する」というシステムはありません。
さらに求人情報には、「職種」に加え、「職位」「勤務地」「給与や福利厚生」などの細かい条件が記載されています。これは新卒でも中途採用でも同じです。職位には、初級プログラマーなのか中堅リーダーなのか、経験年数などが明記されます。
普通は自分の経験年数に見合った求人に応募するのですが、どうしてもキャリアを変えたくて自分の専門外の職種に応募する場合は、要求される経験年数が少ない求人にあえて応募します。そうすれば、たとえ年齢を重ねていても、同じ土俵で選考が行われます。
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