Windows Vista SP2を実行する仮想マシンでは、Windows Updateが数時間たっても一向に進まないという症状が再発しました。この仮想マシンは、前回の記事で、Windows Vistaのサポート終了前後の挙動を追跡するために用意したものです。このときは、Windows Vista SP2の新規インストールから最新状態まで更新するのにWindows Updateが全く進まず、かなり苦労しました。その様子は、筆者の個人ブログにまとめてあります。
前回は、3月初めに、Windows Vista SP2の新規インストールから最新の状態まで更新した環境を用意しましたが、3月の定例更新で再び、Windows Updateが進まない状態になりました。上記の投稿にも追記していますが、3月にリリースされた以下の2つの更新を手動でインストール(更新するごとに再起動)することで、更新の確認環境を10分程度までに改善することができました。
Windows ServerのインスタンスをクラウドのIaaS(Infrastructure as a Service)上に展開、実行している場合、Windows Updateに関して不安要素が1つあります。それは、リモートデスクトップ接続はできても、ローカルコンソールへのアクセス手段が提供されないということです。
再起動を必要とする、Windows Server 2016の累積的な更新プログラムは、再起動時にインストールが行われます。通常、インストールの30%まではシャットダウン中に、その後の100%までは再起動後に行われます。更新プログラムの内容によっては、途中で複数回、再起動が実施されることもあります。ローカルコンソールを確認できないと、状況が全く分かりません。再起動前に「戻ってきてくれ」と祈るしかないのです。
Microsoft AzureのIaaS環境に関しては「ブート診断」という機能を有効化しておくことで、稼働中の仮想マシンのローカルコンソール画面のスクリーンショット(Linux仮想マシンの場合はコンソール出力)を取得して、参照することができます(画面6)。
全く進まないようであれば、クラウドの管理コンソールの仮想マシンの再起動機能を使って、リセットできるかもしれません。ブルースクリーン(BSoD)が繰り返されるようであれば、その仮想マシンは諦めて、新たにデプロイする必要があるでしょう。もし、バックアップがあればそれを復元します。
Windows 10 Anniversary Updateで最新の状態に更新されると(本稿執筆時点では「KB4013429」のビルド番号14393.953)、「設定」の「更新とセキュリティ」の「Windows Update」に、最初の画面1のようにWindows 10 Creators Updateに関する次のようなお知らせが表示されるようになります(更新のチェック中は非表示になります)。なお、現時点では、「はい。方法を確認する」リンクをクリックしても、いち早く手に入れる方法は確認できません(画面7、画面8)。
このメッセージは、Windows Server 2016(Desktop Experience)にも表示されますし、機能更新が提供されない「Long Term Servicing Branch(LTSB)」であるWindows 10 Enterprise LTSB 2016にも表示されます。このコンピュータにCreators Updateが間もなく提供されるということではなく、Creators Updateの広告なのでしょうか。それとも、このメッセージを表示することを決断した人は、Windows Server 2016やLTSBに考えが及んでいないのでしょうか。
2017年3月21日に累積的な更新プログラム「KB4015438」が配布され、ビルド番号が「14393.969」に更新されました。この更新プログラムは、累積的な更新プログラム「KB4013429」、ビルド番号「14393.953」で報告された2つの不具合を修正するものです。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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