ニューラルネットとモダンBIプラットフォームでデータとアナリティクスが進化するGartner Insights Pickup(14)

ディープラーニングおよび自然言語生成は、データ分析における標準機能になろうとしている。企業の担当リーダーは、これらの技術の適切な活用を進める必要がある。

» 2017年03月31日 05時00分 公開
[Kasey Panetta,Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 グーグルの囲碁プログラム「AlphaGO」がトップ棋士を破ったとき、「コンピュータが人間を超えた」と話題になったが、このようにディープラーニングが快進撃を見せているのは囲碁の世界だけではない。バイドゥ(百度)は音声認識の精度を89%から99%に高めた。ディープラーニング関連の求人は、2014年にはほとんどなかったが、現在では4万1000件程度に増えている。

ディープラーニングは現在、ガートナーのハイプサイクルにおける「過度な期待」のピーク期にあるが、ガートナーのレポート「2017年の展望:アナリティクスの戦略とテクノロジ」では、ディープラーニングが普及途上の先端技術から、アナリティクスの主要コンポーネントへと進化すると予見している。

 データ分析の分野では、さまざまな製品やサービスが際限のない約束を繰り返しているが、実際には、データ統合が困難なこともある。ディープラーニングや自然言語生成のような自動化ツールは、正しいデータならうまく処理できる。だが、データ統合が簡単にはいかない場合は、こうした新しいツールを効果的に活用するために、専門のデータインテグレーターやデータサイエンティストが必要になる。

 「今後、こうした技術を使いこなしてデータ統合を効率的に進められるプロのデータインテグレーターやデータサイエンティストと、より定型的な、あるいは半定型的な業務のために雇われる少数の市民データサイエンティストや市民データインテグレーター(※)の両方を見かけるようになるだろう」と、ガートナーのシニアリサーチアナリストを務めるピーター・クレンスキー氏は語る。

※ガートナーの用語。データ分析やデータ統合を専門に行う通常のデータサイエンティストやデータインテグレーターに対し、仕事の一環としてデータ分析やデータ統合を行うビジネス部門などの一部の担当者を指す。

 「データ/アナリティクスのリーダーは、部門横断型のチームやサンドボックス環境を生かし、スキルの高いとはいえないスタッフがトラブルに見舞われるリスクを軽減することに力を入れなければならない」(クレンスキー氏)

ディープラーニング(ディープニューラルネットワーク)は2018年までに、データサイエンティストのツールボックスの80%で標準コンポーネントになる

 ディープラーニングは、プロジェクトでも人員採用でもますます人気が高まっている。こうした急速な躍進の一因は、FacebookやIBMなどの大規模な研究所による研究投資にある。ビジネス展開としては、データサイエンスプラットフォームベンダーの約30%が、ディープラーニングに対応した製品の初期バージョンをラインアップしている。

 だが、ディープラーニングは単体の技術ではない。実のところは、機械学習がけん引する分析の第3の波の一部だ。企業は機械学習を潜在的なサービスのカテゴリーとして捉えなければならない。潜在的なアプリケーションには、異常検知、音声操作、音声検索、感情分析、顔認識などがある。

 データ/アナリティクスのリーダーは、ディープラーニングを自社のビジネスに取り入れる機会を探し始めなければならない。特に、知覚に関わる要素が大きい重要なビジネス課題への取り組みに、ディープラーニングを取り入れる必要がある。大学や研究所、コンサルティング会社との関わりを通じて、ディープラーニングへの理解を深めることも重要だ。人材や技術の獲得に向けて、スタートアップ企業を買収することも検討に値する。

2019年までに、自然言語生成はモダンBIおよびアナリティクスプラットフォームの90%において標準機能となる

 可視化は、今日のビジネスインテリジェンス(BI)の大きな推進力となっている。だが、可視化されたデータは、十分に解釈するのが難しいこともある。自然言語生成(NLG)はデータに関する知見を、コンテンツとして記述または音声により説明できる。可視化表現とともに、主要なアクションアイテムについて包括的なストーリーを生成できる。多くのBIチームは現在、単体のNLGエンジンを取り込もうとしているが、技術の進化とともにこの状況は変わるだろう。

 NLGは、次世代のBIおよび分析プラットフォームを実現し、重要な事項を自動的に発見し、可視化し、説明する。この技術は、分析結果を幅広い人々に届けるとともに、通常の定型レポートの作成にかかる時間とコストを低減するだろう。

 データ/アナリティクスのリーダーは、NLGと既存のBI/データディスカバリといったツールの統合に着手すべきだ。BI、データディスカバリ、データサイエンス、そして新興技術の機能の可能性とロードマップに注視する必要がある。

出典:Neural Networks and Modern BI Platforms Will Evolve Data and Analytics(Smarter with Gartner)

筆者 Kasey Panetta

Brand Content Manager at Gartner


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