マーケティング部門がマーケティングテクノロジーソリューションを選択し、導入するケースは増加を続けている。これは、マーケティング部門が、IT部門のような考え方でソリューションを選択しなければならなくなってきたことを意味する。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
ガートナーが2016年10月に発表したマーケティングリーダーを対象とした調査「Gartner CMO Spend Survey 2016-2017」によると、マーケティングテクノロジー(以下、MarTech)に関する投資は、すでに調査された3分の2の企業で、IT部門ではなく、マーケティング部門の管理下にあるということが、明らかになった。また、ガートナーが以前から予測していたように、CMOの管理下にあるMarTech支出はごく近い将来に、CIOの管理下にあるテクノロジー支出を上回る見通しだ。
マーケティングリーダーがテクノロジー投資から最大限のビジネス効果と価値を引き出すには、新しいスキルセットを身につけ磨く必要がある。
「マーケティングリーダーはITリーダーのような考え方を実践し、現在および将来にわたって組織にとって最大の価値をもたらす最適なソリューションを定義しなければならない」と、ガートナーのGartner for Marketers部門リサーチディレクターを務めるイワン・マッキンタイア氏は語る。
テクノロジーの獲得は目的を達成するための手段であり、目的そのものではない。MarTechに関する決定は、MarTechがサポートするビジネス目標やマーケティング目標を踏まえて行わなければならない。そしてマーケティングリーダーは、テクノロジーの機能や成果物に依存した目標を立てるべきではない。マーケティング戦略に基づいてマーケティング目標を設定する必要がある。この目標には、組織に価値をもたらすモデル、プログラム、アクティビティを含めなければならない。
テクノロジー投資について適切な決定を下すには、確固たる目標を踏まえて手続きを進めなければならない。マーケティングリーダーは、「SMART(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Timebound:具体的、測定可能、達成可能、有意義、期限がある)」を目標とする必要がある。つまり、目標は、「何をいつまでに実現するか」を明示していなければならない。
MarTech支出については、戦略との整合性が確保されるように明確な方針を立て、実行に移す必要がある。ビジネス目標を落とし込んだ方針に沿ってMarTechに関する決定を行い、MarTech投資をマーケティング戦略やビジネス目標への明確に定義された貢献につなげなければならない。
望ましいプロセスを具体的に理解するために、顧客獲得コストの削減と、既存顧客との取引の採算向上という2つのビジネス目標を持つB2Bソフトウェア会社を考えてみよう。この会社のデータは、製品デモを実施するWebセミナーに参加した見込み客はコンバージョンする可能性が高く、生涯価値も高いことを示している。また、これまでの経験から、最も価値の高い見込み客のニーズを特定し満たすことができれば、オンサイトコンバージョンを高め、メディアコストを効率化できることが分かっている。
B2Bソフトウェア会社は、「マーケティング部門は、所定の条件を満たした見込み客を10%増やし、顧客獲得コストを8%減らし、顧客生涯価値を5%向上させる」というSMARTマーケティング目標を設定した。
これらの目標と洞察に基づき、この会社は、MarTechニーズを次のように定義した。「マーケティング自動化とタグ管理に投資し、個々の見込み客に応じてパーソナライズされたエクスペリエンスを構築する。さらに、見込み客を、関連する製品デモWebセミナーへの登録と閲覧に効率的に導き、Webセミナー参加後のプロセスで最良の一歩を踏み出してもらえるよう後押しする」
マッキンタイア氏はこう語る。「MarTechの獲得に関する決定は、組織の戦略の文脈に照らして、正当化できる必要がある。ツールはもともと戦術的でも、幅広いビジネス目標に貢献しなければならない。ツールによる成果物がいかにこまごまとしたものであってもだ」
出典:How Marketing Leaders Learn to Think Like IT(Smarter with Gartner)
Writer and marketing strategist
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