Webを検索してみると、すぐにこれはWindowsの既定値の変更の影響であることが判明しました。しかも、その既定値が変更されたのは、Windows 8のときでした。
サービスがユーザーとの対話を許可するレジストリキーは、「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Windows」の「NoInteractiveServices」値です。Windows 7までのNoInteractiveServices値の既定値は「0」、つまり、サービスによるユーザーとの対話は既定で許可されていました。それが、Windows 8からは既定値が「1」に変更され、“既定では許可されなくなった”のです。
そういえば、そんな仕様変更があったなぁと、そのときようやく思い出しました。仕様が変更されたときに、その影響に気が付けば分かりますが、そうでなければ、なかなか気が付かないものです。しかも、エラーメッセージが「ファンクションが間違っています」ではなおさらです。
Windows 10でレジストリを変更(【筆者注】セキュリティ上、推奨されない設定です)してみると、PsExecユーティリティーで実行したセッション0のプログラムと対話できるようになりました(画面6)。と思いましたが、正確には対話できていませんでした。対話しているように見えるだけです。なぜかというと、マウスとキーボードが反応しないのです(画面7)。いろいろ試してみて、使えたのは[Ctrl]+[Alt]+[Del]キーによるセッションの切断だけでした。
Windows 10バージョン1607の問題なのかと思い、Windows 10バージョン1511でも試しましたが、状況は変わりませんでした。Windows 8.1ではどうかというと、ちゃんと機能します(画面8)。
ここまでをまとめると、以下のようになります。
さて、Windows 10 Creators Updateではどうなることでしょう(この問題以外にもいろいろと気になりますが)。気の早い人は既にCreators Updateを入手してアップグレードしたかもしれませんが、互換性問題が発生する可能性や未知の(公開されていない)仕様変更の影響を考えると、しばらく様子を見るのが無難と思います。
Windows 10 HomeエディションはWindows Updateで「機能更新プログラム」として配布されればアップグレードが開始されてしまいます。Windows 10 Pro以上のエディションでは「設定」の「更新とセキュリティ」→「Windows Update」(「ファイル名を指定して実行」で「ms-settings:windowsupdate」を実行することで開けます)から「詳細オプション」を開き、「機能の更新を延期する」をチェックしておくと、Windows Updateによる配布を先延ばしにできます。
自分が使用しているPCのモデルやデバイス、アプリケーションの互換性をメーカーのWebサイトなどで確認し、HDDの空き領域を確認した上でCreators Updateにアップグレードすることをお勧めします。もちろん、その前にフルバックアップを取得しておくことを強くお勧めします。
Windows 10 Creators Updateへのアップグレードについては、次回、レポートします。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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