ESETの研究者がデジタルエコノミーへの影響という観点から、デジタル技術のリスクに関する意識調査を行った。
スロバキアのセキュリティ企業 ESETの研究者が2017年4月26日(現地時間)、「デジタル技術への信頼の低下や不安の高まりが、デジタルエコノミーの成長を損なっている兆候がある」との認識から、米国の成人1000人を対象に実施したデジタル技術のリスクに関する調査結果を公式ブログで報告した。以下、内容を抄訳する。
この調査は、デジタル技術の信頼低下や不安の高まりが、デジタルエコノミーの成長に悪い影響を及ぼしているのではないかという推定から、デジタル技術のリスクに対する人々の捉え方を調べることを目的としている。
2017年3月に米国の成人1000人に、「コンピュータハッキングやネットワーク障害のようなデジタル技術の問題が、あなたのセキュリティや生活の安心にリスクをもたらしていると思いますか」と問い、回答を得た。
回答結果は以下の通り。
当初、回答結果は、リスクを明確に意識している人(「高リスク」「中リスク」の回答者)と、リスクはあまりないと考えている人(「低リスク」「ほとんどリスクなし」の回答者)の割合はそれぞれ50%ほどと予想していた。しかし実際には、前者が68.5%、後者が31.5%と大差があった。
「低リスク」の回答者は5人に1人程度にとどまり、「ほとんどリスクなし」の回答者が8人に1人の割合しかなかった。このことは、デジタルエコノミーの土台となるデジタル技術への信頼感が、多くの経済予測の想定とは異なり、あまり堅固なものではないということを示しているといえる。
回答結果を年齢別にみると、45歳未満の回答者は比較的リスクが低いと考えている。テクノロジー企業はこれを将来への光明と考えるかもしれないが、それは誤りだ。コンピュータハッキングやネットワーク障害のような問題は、私たちにセキュリティや生活の安心に明らかにリスクをもたらしているのは事実であり、それを軽視するのは危険だからだ。
その点で、約7割の回答者がリスクを明確に意識していることは心強いといえる。
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