明瞭な「提案依頼書(RFP)」の書き方「訴えてやる!」を未然に防ぐ(2/4 ページ)

» 2017年05月22日 05時00分 公開
[吉澤準特@IT]

 システム自体や作成文書に不備がないことをベンダーに必ず保証してもらいたい場合、契約形態は「請負契約」が適しています。そうでないものは「準委任契約」とします。

1 委託範囲

 「委託範囲」で依頼したい提案の「概要」を定義します。「案件目的」「業務概要」「システム化の範囲」「全工程のスケジュール」が当たります。

 「契約委託範囲」「機能、非機能要件」「作業要件」も明文化します。

必須記述項目

  • 対象業務名
  • 対象システム
  • 調達対象の内容
  • 情報システム要件
  • 規模/性能要件
  • 信頼性要件
  • 情報セキュリティ要件
  • テスト要件
  • 移行要件
  • 教育/研修要件
  • 保守/運用要件

 上記は、必須記述項目です。提案書にどんなプラスアルファを盛り込んでくるかはベンダー次第ですが、最低限の水準は必ず示しましょう。

2 納品成果物

 「納品成果物」は、契約後の「成果物一覧」と、その「納期」です。

 納品成果物の「検収方法」もRFPで指定しましょう。「工程ごとの成果物(検収物)」を指定し、「ユーザー承認に要する期間」も示します。

3 体制、役割分担

 「体制、役割分担」では、委託業務を推進する体制、委託者と受託者の役割/責任分担を定義します。

 「体制図」「役割分担表」「再委託(二次請け以降)の扱い」を指定し、「現場管理責任者」の提示を求めます。

 重要なのは、委託するユーザー企業がベンダーをどれだけ主体的に管理できるかです。

 多重請負構造では、ユーザーやプライムベンダー(直接契約する一次請けベンダー)の統制が現場の二次請け以降のメンバーにまで浸透しないことがあります。これを防ぐため、「参画メンバーはプライムベンダーとその協力会社(二次請け)までに限る」という制約を設けることもあります。

4 スケジュール

 「スケジュール」は、委託業務の「実施スケジュール」を定義します。

 「マスタースケジュール」「マイルストーン」「各タスクの終了条件」を指定し、「順守すべき期日」をベンダーに示します。

 各マイルストーンの達成承認における「合意形成のリードタイム」と「段取り」は、可能な限り明確化しましょう。意思決定の合意形成に1カ月必要なら、それに関係するマイルストーンは実質1カ月前倒しで設定しなければなりません。

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