IBMと米空軍研究所が、人間の脳からヒントを得た「IBM TrueNorthニューロシナプティックシステム」を搭載するスーパーコンピューティングシステムを共同で開発する。
IBMと米空軍研究所(AFRL:US Air Force Research Laboratory)は2017年6月23日(米国時間)、人間の脳からヒントを得たAI(Artificial Intelligence:人工知能)搭載スーパーコンピューティングシステムの開発に共同で取り組むと発表した。新システムには「IBM TrueNorth ニューロシナプティックシステム」の64チップアレイが搭載される。
IBMは今後、AFRLのためにディープニューラルネットワークラーニングや情報発見を可能にするソフトウェア群を搭載するスケーラブルなプラットフォームを構築する計画。高度なパターン認識と感覚処理の能力を持つ今回のTrueNorthニューロシナプティックシステムは、6400万のニューロン(神経細胞)および160億のシナプス(神経細胞の接合部)に相当する処理を可能としながら、消費電力はLED電球並みの10ワットにすぎないという。
IBMの研究者は、脳からヒントを得たTrueNorthのニューラルネットワーク設計により、従来型チップを搭載したシステム(ノイマン型コンピュータ)よりもパターン認識や統合型感覚処理をはるかに効率的に行えるようになると考えている。AFRLはこうした設計の新システムについて、2017年現在はサイズ、重さ、電力が大きな制限要因となっている組み込み型、モバイル、自律システムへの応用の可能性を探っていく。
IBM TrueNorthニューロシナプティックシステムは、標準サーバラックの4Uスペースに収まり、ラック当たり8システム(5億1200万のニューロンに相当する構成)を搭載できる。1個のTrueNorthプロセッサは54億個のトランジスタで構成され、4096個のニューロシナプティックコアによるオンチップネットワークを持つ。それらが100万のデジタルニューロンのアレイを形成し、2億5600万の電子シナプスを経由して相互コミュニケーションを行う。
IBM TrueNorthニューロシナプティックシステムは、米国国防省国防高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)の助成の下、コーネル大学と取り組んだ神経形態学的電子工学システム(SyNAPSE:Systems of Neuromorphic Adaptive Plastic Scalable Electronics)プログラムで最初に開発され、米エネルギー省のローレンス・リバモア国立研究所も導入している。
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