Azure Web Appsで細かい設定を変更する際、いちいちweb.configファイルを編集するのは間違えやすく手間もかかる。そこでWindowsのIISマネージャーでWeb Appsに接続すると、IISのようにGUIでサイト設定を変更できるようになる。
対象サービス:Microsoft Azure、Web Apps、IISマネージャー
Azure Web Apps*1では、Azureポータルを使って各種設定が変更できる。しかし、細かい項目については設定できないことも多い。例えば、ソースIPアドレスによるアクセス制限や要求フィルター、URL Rewriteなどが挙げられる。
*1 LinuxベースのApp Serviceである「Web App On Linux」については、本稿では対象外としている。
Windows OSのIISなら、こうした設定はIISマネージャーを用いることで、GUIで手軽に変更できる。
実はWeb AppsもIISマネージャーで接続して、IISと同様に管理することが可能だ。特にオンプレミスでIISに慣れている管理者には便利だろう。本稿ではその手順や注意点を説明する。
まずはIISマネージャーからWeb Appsへの接続に必要な接続パラメータを入手しよう。それには、以下の手順でAzureポータルから「発行プロファイル」をダウンロードする。この作業は1回だけ実施すればよい。
発行プロファイルにはコンテンツ展開時に必要な認証情報や接続先などが記されている。これらはIISマネージャーからの接続にも利用できる。一方で、その内容が漏えいするとコンテンツを不正に書き替えられたり設定を変えられたりする可能性があるので、その取り扱いには細心の注意を払いたい。
発行プロファイルをダウンロードしたらメモ帳などのテキストエディタで開き、以下のようにして必要な情報をメモする。
<publishData><publishProfile (1)profileName="locasmapijw2 - Web Deploy" publishMethod="MSDeploy" (2)publishUrl="locasmapijw2.scm.azurewebsites.net:443" (3)msdeploySite="locasmapijw2" (4)userName="$***************" (5)userPWD="*******************************************************************" destinationAppUrl="http://locasmapijw2.azurewebsites.net" SQLServerDBConnectionString=""
……(後略)……
次に、管理用のWindows PCでIISマネージャーを準備する。この作業は1回だけ実施すればよい。既にIISマネージャーがインストール済みであれば、この手順は飛ばして次へ進んでいただきたい。
また、必要なのはWebサーバとしてのIISではなく、管理ツールとしてのIISマネージャーだけなので、以下の手順で絞り込んでインストールする。
以下、Windows 10を例に挙げているが、Windows 7/8.1でも手順は同じだ。Windows Serverの場合は、サーバマネージャーから[役割と機能の追加]ウィザードを起動して、下記と同じ機能をインストールする。
ここでIISマネージャーを起動してみよう。それには、スタートメニューあるいはCortanaで「IIS」と検索すると表示される[インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャー]をクリックする。
起動したら[ファイル]メニューを開き、[サーバーに接続][サイトに接続]といった接続関連のメニューが表示されるかどうか確認する。表示された場合は「IISマネージャーからWeb Appsに接続する」に進んでいただきたい。
表示されないのなら、そのIISマネージャーはローカルのIISしか管理できず、リモートのIIS(Web Appsを含む)を管理する機能を持っていないということだ。
そんな場合は、マイクロソフトが別途提供しているリモート管理用のIISマネージャーを追加でインストールする。この作業も1回だけ実施すればよい。
まず、起動したIISマネージャーをいったん終了する。次にリモート管理用IISマネージャーのインストーラ*2をマイクロフト ダウンロードセンターのサイトからダウンロードする。
*2 Web Platform Installerでも「リモート管理用 IIS マネージャー」がリストアップされる。しかし筆者が試した限りでは、エラーが発生してインストールに失敗してしまった。そのため本稿ではダウンロードセンターからインストーラを直接入手している。
次にインストーラを起動して、リモート管理用IISマネージャーを上書きでインストールする。
インストールウィザードでは、特に設定を変更する必要はない。
接続パラメータとIISマネージャーの準備を完了したら、以下の手順でWeb Appsに接続してみよう。
以上でWeb Appsとの接続は完了だ。
上記の接続設定の完了後、IISマネージャーを終了しようとすると、「接続一覧は変更されています。変更内容を保存しますか?」と表示される。ここで[はい]ボタンをクリックすると、以後はサーバ名/サイト名/ユーザー名を入力することなくWeb Appsに接続できる。
ただし、その場合でもパスワードだけは再入力が求められることがある。そのため、パスワードだけは別途控えておいた方がよい。
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