コンテナ時代のOpenStack、現在を理解するための4つのポイントOpenStack Days Tokyo 2017直前スペシャル(2)(2/2 ページ)

» 2017年07月19日 05時00分 公開
[三木泉@IT]
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 この点についての反省から、2017年5月に開催された「OpenStack Summit Boston」では、他のオープンソースプロジェクトとの協力関係を全面的にアピールしている。

 7月20、21日に開催されるOpenStack Days Tokyo 2017でも、Cloud Foundry Foundationの講演やパネルディスカッションで、アプリケーション開発環境とクラウドインフラの関係が語られる予定だ。

 また、IoTに関して、FIWARE Foundationによる講演もある。

参考記事:
IoTのデータモデルとAPIを実装したOSS、FIWAREとは

ポイント3:期待される「サービスとしてのOpenStack」

 OpenStack利用のトレンドとして語られるのは、「クラウド的」な利用の広がりだ。これは3つの導入/利用形態を意味している。

  • パブリッククラウドサービスを通じたOpenStackの利用。一般的なパブリッククラウドと同様に、マルチテナントサービスを事業者が運用し、これをユーザーは従量課金で利用する
  • ホステッドプライベートクラウドサービスとしての利用。この場合、ユーザー組織は、社外のデータセンターに事業者が構築し、運用する専用のOpenStack基盤を利用する。このユーザー組織専用の基盤であるため、ユーザーにとってはパフォーマンスやセキュリティに関する他のユーザーの悪影響を心配する必要性が減る
  • マネージドプライベートクラウド。2つ目と名称的には紛らわしいが、OpenStack基盤をユーザー組織のデータセンターにベンダーが構築。OpenStackソフトウェアの運用もベンダーが行う。どうしても社内のデータセンターにITインフラ基盤を持ちたいが、運用負荷を避けたいという場合にメリットがある

 OpenStackでは現在に至っても、運用およびバージョンアップの面倒さ、そしてOpenStackに関する運用スキルの不足が課題として指摘されるが、上記のような「サービスとしてのOpenStack」が、利用を促進する可能性がある。

 関連して、OpenStackでは、そのコントローラーコンポーネントをコンテナアプリケーションとして動かすプロジェクトが進展している。一部の「サービスとしてのOpenStack」では、OpenStackをコンテナとして動かすことで、メンテナンスを容易にしている。

 ちなみに、「OpenStackをコンテナとして動かす」といっても、制御ソフトウェアのことであり、アプリケーションやデータを置く仮想マシンをコンテナ上で動かすというわけではない。

ポイント4:「Enterprise Ready」への道

 2015年10月に開催されたOpenStack Summit Tokyo 2015では、メディアおよびアナリストが、OpenStackについて議論するセッションがあった。

 「OpenStackはEnterprise Readyになったか」という質問に対し、あるアナリストは、「Enterpriseの側がReadyか(つまり、一般企業がクラウドネイティブなアプリケーションへ移行する準備ができているか)を問うべきだ」と答えた。筆者は、「あらゆる企業のあらゆるニーズに応えた時点で、Enterprise Readyになったと言えるのではないか」とコメントした。

 「Pet vs. Cattle」、つまり企業のアプリケーションを、ペットのように手厚く飼育すべきなのか、農場のように放し飼いに近い状態にするべきなのか」という議論があり、現在でも多くのOpenStack関係者は、「OpenStackがペットを飼育する必要はない」という考えだ。

 だが、筆者の意見は変わらない。一般企業における普及のためには、「ペットも」飼育できるに越したことはない。そうすれば、さまざまなアプリケーションを統合するプラットフォームとしての、OpenStackの価値が高まるからだ。

 OpenStack Days Tokyo 2017では、ヴイエムウェア、日本ヒューレット・パッカードおよびニュータニックス・ジャパンが、それぞれ自社の製品と組み合わせた、「ペットも飼育できる」OpenStackの使い方を説明する。

 一方、OpenStackにおいても、VMware HAのような仮想マシンの復旧を実現するMasakariというコンポーネントが、日本人を中心に開発されていて、OpenStack Days Tokyo 2017では、これに関する講演もある。Masakariのような機能の充実が一般企業への普及に欠かせないと考える人は、今後も少数にとどまるのだろうか。

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