試食や試着をするように、いろいろな企業に“お試し”就職してもいいじゃない。
「憧れの企業に入社してみたもののイメージと違っていた」という話は珍しくない。しかし、一度就職をしてしまうと、転職には大きな決断と相応のエネルギーが必要とされる。それに「すぐに転職する」=いわゆるジョブホッパーは、日本の転職市場ではまだまだ敬遠されがちだ。
それならば、インターンシップを利用して、学生のうちにいろいろな企業を「味見」してみるのはどうだろうか?
今回紹介する泉将之さん(24歳)は、学業と生活を両立するために複数のインターンシップを経験した。味見を意識したわけではないが、複数の企業で就業体験をすることで、結果的に自分に適した仕事・職場を見つけたそうだ。
泉さんの就職までの道のりを知れば、学生のうちに企業の味見をしておくのも悪くない、むしろ身軽な学生のうちにこそさまざまな企業に体験入社しておくべきかもしれないと思えるはずだ。
泉さんは現在、大学院の修士課程2年生。インターンシップで「ウォンテッドリー」に週3日のペースで出勤しており、来春、同社への入社が内定している。
ウォンテッドリーは、ビジネスSNS「Wantedly」の運営、名刺管理アプリ「Wantedly People」、ビジネスチャット「Wantedly Chat」といった、今どきのビジネスシーンにフォーカスした人気アプリを提供している企業だ。居心地が良くて働きがいがある、泉さんにとっての理想的な企業だという。
泉さんが同社でインターンシップするのは2度目。別の企業でもインターンシップで就業体験をして、舞い戻って来たのであった。
小学生のころから算数が好きだったという泉さん。小中学校時代は、父親が自作したPCに触れる機会もあった。しかし、早くからエンジニアという道を志したわけではなかった。
中学卒業後は明石高専電気情報工学科へ進学。これも「情報工学科」だから選んだというわけではなかったという。
「理数系科目が得意だったので、地元にある理数系で難易度ランキングの高い学校へ進学しようと思いました。調べてみたら、明石高専の情報工学科が確か上から2番目だったので、決めました」
同校では専攻科まで進み、生体認証をテーマに、スマートフォンのPINコード入力の入力速度、間隔、押す位置などから本人であるかどうかを特定する研究を進めた。
高専時代には「チームラボ」のインターンシップで、Ruby on RailsやPythonを使ったWeb開発を経験した。しかし、卒業後すぐに就職するつもりはなかった。
明石高専情報工学科の卒業生の多くは、大阪大、岡山大、神戸大など、関西・近畿エリアの大学に進学する。しかし泉さんが選んだのは、東京大学大学院だった。ヒューマンコンピュータインタラクションという分野に興味を持ったのがきっかけだという。
2015年4月、東京で泉さんの新たな生活が始まった。
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