本連載では、「SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、正しい対処のためのノウハウを紹介します。今回は、「接続プロトコルを無効にしたら、SQL Serverが起動しなくなった場合の対処方法」を紹介します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブルについて、「なぜ起こったか」の理由とともに具体的な対処方法を紹介していきます。
「Windows Server 2012 R2」上に「SQL Server 2016 RTM」をインストールした環境を想定して解説します。
SQL Serverのネットワーク通信は、「TCP/IP」「名前付きパイプ(Named Pipes)」「共有メモリ(Shared Memory)」のいずれかのプロトコルが使われます。バックナンバー「第8回 アプリケーションがどのプロトコルで接続しているのかを確認する」で詳細を解説しました。
種類 | 特徴 |
---|---|
TCP/IP | ソケット通信を用いる方式。クライアントはIPアドレスとポート番号を指定して接続を行う。サーバ側は特定のポート番号でリスニングを行い、クライアントからの処理を待ち受けている |
名前付きパイプ(Named Pipes) | サーバ名と、サーバ内で定義したパイプ名を元にアプリケーションが接続する方式。「\\サーバ名\パイプ名」の表記となる |
共有メモリ(Shared Memory) | サーバ内のローカル接続に利用される通信方式 |
使用するプロトコルの制御は、「SQL Server Configration Manager」から設定できます(図2)。
しかし、TCP/IPを無効にしたところ、接続できなくなったアプリケーションが出てしまいました。
失敗したクライアントのエラーメッセージには、「SQL Serverへの接続を確立しているときにネットワーク関連またはインスタンス固有のエラーが発生しました。サーバーが見つからないかアクセスできません。インスタンス名が正しいこと、およびSQL Serverがリモート接続を許可するように構成されていることを確認してください。 (provider: TCP Provider, error: 0 - リモート コンピューターによりネットワーク接続が拒否されました。) (Microsoft SQL Server、エラー: 1225)」と表示されていました。
このエラー文字列をよく読むと、「TCP Provider」とあります。このことから、無効にしたはずのTCP/IPを使って接続を試みていることが分かります。
接続できなくなったアプリケーションのサーバ接続文字列を確認すると、「<サーバー名>\<インスタンス名>,<ポート番号>」の書式で記載されていました。ポート番号はTCP/IPでのみ使うものです。つまり、このように明記されていると強制的にTCP/IPによる接続を試みます。TCP/IPで接続しようとしているのに、SQL Server側では無効にされていることから、エラ−となってしまうわけですね。
ちなみに、「tcp:<サーバー名>\<インスタンス名>」と記載した場合にもTCP/IPを使う接続として強制されます。
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