Visual Studio 2017におけるPythonサポート特集:Visual Studioで始めるPythonプログラミング(1/2 ページ)

[Python 開発]ワークロードのインストール方法、[Python 環境]ウィンドウ、[Interactive]ウィンドウ、ソリューションエクスプローラーの構成などを説明する。

» 2017年08月18日 05時00分 公開
[かわさきしんじInsider.NET編集部]
「特集:Visual Studioで始めるPythonプログラミング」のインデックス

連載目次

 Visual Studio 2017(以下、VS 2017)でインストーラーの方式が変更されたことで、VS 2017でのPythonサポート機能は、従来のPython Tools for Visual Studioという形式ではなく、VS 2017の「ワークロード」という形でインストールされるようになった。本稿では、そのインストール方法とVS 2017のIDEとPythonがどのような形で統合されているかを見ていく。

[Python 開発]ワークロード

 VS 2017でPythonを利用するには、[Python 開発]ワークロードをVS Installerで選択する。

VS Installerで[Python 開発]ワークロードを選択(赤枠内) VS Installerで[Python 開発]ワークロードを選択(赤枠内)

 このときVS Installerの右側に常に表示される[概要]ペーンあるいは[個別のコンポーネント]タブで、[Python 開発]ワークロードと同時にインストールするPythonのバージョンやツール類などを選択できる(従来のPython Tools for VSではPython処理系を別途インストールする必要があったが、[Python 開発]ワークロードでは同時にインストールが可能となっている)。複数の処理系をインストールした場合は、どの処理系を使用するかなどを、後述する[Python 環境]ウィンドウで切り替えられる。

[概要]ペーンでは、同時にインストールするPythonのバージョンやツール類を選択できる
[個別のコンポーネント]タブでも、同時にインストールするPythonのバージョンやツール類を選択できる [概要]ペーンまたは[個別のコンポーネント]タブでは、同時にインストールするPythonのバージョンやツール類を選択できる
上は[ワークロード]ページ右側の[概要]ペーンでPython 2.7/3.6をインストールするように選択をしているところ(赤枠内)。下は、[個別のコンポーネント]タブでさらにAnaconda 3もインストールするようにしたところ(赤枠内)。

 ただし、Python処理系はこのワークロードとは独立して、python.orgなどからダウンロード、インストールしても構わない(その場合の注意点を本稿の最後に記してあるので、興味のある方はそちらも参照してほしい)。VS 2017は基本的にはインストール済みのPythonを自動的に認識して、それを利用できるようにしてくれる。

 基本的にはこれだけで、VS 2017でPythonプログラミングが可能になる。次に、VS 2017のIDEに含まれるPythonサポートを見てみよう。ここでは、幾つかのPython処理系(Python 2.7/3.6、Anaconda 3)とデフォルトで選択されるコンポーネント(Python言語サポート/Python Webサポートなど)をインストールしたものとして話を進める。また、以下ではVS 2017 Update 3(15.3)で動作を確認している。

VS 2017 IDEにおけるPythonサポート

 [Python 開発]ワークロードをインストールすると、Python用のプロジェクトテンプレート、[Python 環境]ウィンドウ、対話型ウィンドウ(本稿では、実際のウィンドウの表示に合わせて、これを[Interactive]ウィンドウと表記する)、IntelliSense、デバッグサポートなどの機能がインストールされる。その中から、幾つかをここで紹介していこう。

[Python 環境]ウィンドウ

 このウィンドウはVS 2017で使用するPython処理系に関する構成などを行うためのものだ。Pythonアプリのプロジェクトで使用するデフォルトの環境がどれかを指定したり、個々の環境に関してさまざまな設定を行ったりできる。メニューバーの[表示]−[その他のウィンドウ]−[Python 環境]を選択することで、その表示/非表示を切り替えられる。

[Python 環境]ウィンドウ
[Python 環境]ウィンドウ [Python 環境]ウィンドウ
上は横に広く表示領域をとったもので、下はソリューションエクスプローラーなどと同様な表示としたもの。

 上の画像を見ると分かるように、ここではAnaconda 4.4.0、Python 2.7、Python 3.6の3種類の環境がインストールされ、VS 2017で使用できるようになっている。そして、環境ごとに[概要][パッケージ][IntelliSense]の3つのタブがあり、それぞれの構成の一覧や変更が行える。別の処理系をインストールするには[オンラインで別の環境を探します]リンクをクリックする。[カスタム]というのは、既存の環境に対して、独自の構成を行う際に利用する(既存の処理系を、VS 2017が自動的に発見できなかった場合などに利用する)。

 上の画像で[Anaconda 4.4.0]と[Python 2.7]にあるリロードボタンは、IntelliSenseで利用する補完データベースが最新ではないので、これを更新しろという意味だ。クリックすると、データベースの更新が行われる。また、その隣にあるのは[Interactive]ウィンドウを表示するためのボタンとなっている。

 上に示した[概要]タブにはその環境についての概要が示されている。例えば、上の画像であれば、新規に作成するPythonプロジェクトで使用される既定の環境がPython 3.6になることが分かる。[対話型ウィンドウを開く]リンクはその名の通りの動作をする。[対話型のスクリプトを確認する]リンクをクリックすると、[Interactive]ウィンドウの起動時に自動的に実行されるスクリプトが保存されているディレクトリがWindowsエクスプローラーに開かれる。[IPython 対話モードを使用する]チェックボックスをオンにすると、IPythonを使用して、通常のものよりも高度な[Interactive]ウィンドウが表示されるようになる(ただし、IPythonがインストールされている場合)。[PowerShell で開く]は現在のディレクトリでPowerShellを起動するものだ。その下には、環境がインストールされているパスとpythonコマンド、pythonwコマンドのパスが表示されている。

 [パッケージ]タブを選ぶと、その環境にインストールされているパッケージが表示される。また、ここからインストール済みのパッケージを検索したり、PyPI(the Python Package Index)で配布されているパッケージを検索/インストールしたりできる。

[パッケージ]タブではパッケージの検索やインストールが可能 [パッケージ]タブではパッケージの検索やインストールが可能

 上の画像はAnaconda 4.4.0環境にインストールされているパッケージを一覧したものだ。

 最後の[IntelliSense]タブを選択すると、VS 2017でIntelliSenseを利用した入力で使用するデータベースの状態が表示される。

[IntelliSense]タブにはIntelliSenseが使用するデータベースが一覧される [IntelliSense]タブにはIntelliSenseが使用するデータベースが一覧される

[Interactive]ウィンドウ(対話型ウィンドウ)

 [概要]タブにある[対話型ウィンドウを開く]リンクをクリックすると、[Interactive]ウィンドウが表示される。このとき、IPythonが利用可能な環境で[IPython 対話モードを使用する]チェックボックスをオンにしていれば、IPythonベースの[Interactive]ウィンドウとなる。

 まずは通常の[Interactive]ウィンドウを起動してみよう。

通常の[Interactive]ウィンドウ 通常の[Interactive]ウィンドウ

 ここではAnaconda 4.4.0ベースの[Interactive]ウィンドウを表示して、関数helloを定義し、それを実際に呼び出している。普通のREPL環境だ。次に同じくAnaconda 4.4.0環境でIPythonを有効にした[Interactive]ウィンドウを表示してみよう。Anaconda 4.4.0には標準で多数のモジュールが含まれているので、そこからmatplotlib.pyplotモジュールを利用して、グラフをプロットしている。

IPythonを利用した[Interactive]ウィンドウ IPythonを利用した[Interactive]ウィンドウ

 ここでは、X軸の値として0.0〜1.0の値を0.1刻みで、Y軸の値としてそれを二乗した値を用いて、グラフをプロットしている。IPythonを使うことで、通常の[Interactive]ウィンドウよりも高度な処理を対話的に行えることが分かるはずだ。

 次に、Pythonのコンソールアプリを作成して、IDEの使い方を見てみよう。

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