新統合IT基盤のプロジェクトがスタートしたのは2015年8月。同年10月に日立製作所をパートナーに選定すると、すぐに設計作業が開始される。その後、Oracle Exadataが搬入されると、2016年1月から5月にかけて開発機と検証機、本番機のセッティングを行い、6月よりOracle Active Data Guardを用いた同期処理を開始。そして10月から移行リハーサルに入り、年末の新旧システム切り替えを経て、2017年1月より新IT統合基盤の本番稼働が始まる。
Oracle Exadata X5-2による新統合IT基盤は、ルネサス エレクトロニクスの期待に応える効果を発揮しているようだ。「アプリケーションやバッチ処理の性能が向上し、アプリケーション担当者からも喜びの声が寄せられています」と荒川氏は話す。加えて、運用効率の面でも大きな効果がもたらされた。
「従来はシステムごとにデータベースが点在していましたが、それが1つに集約されたことで定常的に実施する作業やパフォーマンス監視などの負担が大きく減った他、監査ログが集約されたことも運用負担の軽減につながっています。さらに、従来は一部のデータベースでOracle Real Application Clustersを使用していなかったため不安がありましたが、それらもOracle Exadata上に集約したことで可用性が向上し、リスクを低減できたことも大きなメリットです」(荒川氏)
また、今回のプロジェクトでは東西日本にまたがるプライベートクラウド環境をOracle Exadataによって構築し、Oracle Enterprise Managerを用いたリモート監視の仕組みを実現するなど、クラウドやオラクル製品に関する日立製作所の高い技術力と豊富なノウハウが惜しみなく注がれた。同社の嶽山康則氏(クラウドサービス事業部 エンジニアリングサービス本部 エンジニアリング第2部 統括主任技師)は、プロジェクトのポイントを次のように語る。
「新統合IT基盤では、当社が提供するパブリッククラウドとルネサスエレクトロニクス様専用のプライベートクラウド、そしてOracle Exadataという3つの要素をいかにしてシームレスにまとめるかが大きなポイントになりました。当社はパブリッククラウドとプライベートクラウドのそれぞれについて豊富な経験とノウハウを有していますが、両者を組み合わせて使うケースはまだ少数です。そのため、試行錯誤した部分もありますが、最終的にお客さまのご要望を満たす基盤を実現できました」
ルネサス エレクトロニクスの諏訪部氏も、日立製作所の貢献を高く評価している。
「プロジェクト全体を通じて、日立製作所の総合力の高さを強く感じました。難しい判断を迫られるようなこともなく、プロジェクトを円滑に進めていただいたことに感謝しています」(諏訪部氏)
日立製作所の野上順司氏(情報・通信システム社 エンタープライズソリューション事業部 エンタープライズパッケージソリューション本部 ERPソリューション部 技師)は、このプロジェクトを通して得た知見を生かしていきたいと意気込みを語る。
「Oracle Exadataを用いた大規模システムの構築や災害対策サイトの構築は当社が得意とするところですが、なかでもルネサス エレクトロニクス様のシステムは規模が大きく、当社としてもさまざまな経験を得ることができました。それらの知見は、ぜひ他の提案でも生かしていきたいですね」(野上氏)
新統合IT基盤への移行は2つのフェーズに分かれており、ERPやSCM、MES(製造実行システム)などのシステムを移行したフェーズ1に続いて、現在はPIM(製品情報管理)やMDM(マスターデータ管理)などのシステムを移行するフェーズ2の準備が進められている。また、将来的には買収したインターシルのシステムの統合も見据えているという。こうして“ワン・グローバル・ルネサス”の実現基盤としても大きな役割を果たす新統合IT基盤の上で、今後も同社による“先進的な半導体ソリューションの創造”へのチャレンジが続いていく。
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