Nutanixは2017年6月末、Nutanix .NEXT Conference 2017で、ソフトウェア単体での展開、アプリケーション視点のクラウド管理ツール「Nutanix Calm」、Google Cloud Platform(GCP)上で同社のソフトウェアスタックを動かし、これを従量課金で使えるサービスの「Xi Cloud Services」を発表した。本記事ではNutanixのCEO、ディラージ・パンディ氏およびNutanix CTOであるスニル・ポッティ氏への単独インタビューの抜粋をお届けする。
Nutanixは2017年6月末、年次カンファレンスのNutanix .NEXT Conference 2017で、ソフトウェア単体での展開、アプリケーション視点のクラウド管理ツール「Nutanix Calm」、そしてまずGoogle Cloud Platform(GCP)上で同社のソフトウェアスタックを動かし、これを従量課金で使えるサービスの「Xi Cloud Services」を発表した。
これらについて、NutanixのCEO、ディラージ・パンディ氏およびNutanix CTOのスニル・ポッティ氏に単独インタビューで聞いた質問と回答を、抜粋してお届けする。
参照記事:
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Nutanixが発表したクラウドサービスや多数の新機能をまとめてみた
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――今回の発表で、ソフトウェアベンダーへの道のりははっきりしてきましたか?
パンディ氏 例えばAppleはソフトウェアベンダーですが、iPhoneやiPadなどのハードウェアも提供しています。問題は、ソフトウェアとハードウェアを統合的に提供することで上位の市場にとどまりたいのか、それとも下位の市場にも取り組みたいかということにあります。ソフトとハードを単一のベンダーで提供し、単一のサポートで高いSLAを提供するのも1つの方法です。一方で、SLAは異なるものの、自分で統合作業はするので、別々に購入したいという人たちもいます。当社は、こうした2つの世界が並存するシナリオで生きていくことを学ぶ必要があると考えています。
Cisco Systems(Cisco)、Hewlett Packard Enterprise(HPE)への対応、およびIBMとのパートナーシップを発表しましたが、どのような使われ方が多くなるかについては、市場に任せるべきことでもあります。
――Xi Cloud Servicesについてですが、「クラウドはアプライアンス、ソフトウェアに続く第3のフォームファクタだ」ということですか?
パンディ氏 所有、ソフトウェアのライセンスに続き、「借りたい」というニーズに注意を払うべきであることを認識してきました。投資と経費のいいバランス、そしてこの2つの適切な融合を図る必要があります。これが世界の向かう方向です。
――それはソフトウェアのサブスクリプションモデル、そしてクラウドサービスという形で具体化されていくわけですね。
パンディ氏 そうですね。それは組織により、考え方が異なるからです。「真にインビジブルな状態が欲しい、ハードウェアは見たくない」という考えがあれば、「戦略的に重要なものについては、コンプライアンスやデータ制御など、さまざまな理由でインフラを所有したい」という組織は多数存在します。双方に対応する必要があります。20年前には、データベースでSQLとNoSQLの融合が進みました。これと同じようなことが、コンピューティングで起こりつつあります。
最大のテーマとして、オンプレミスであるアプリケーションを立ち上げ、季節的要因などで必要に迫られた場合、クラウドのリソースを利用してアプリケーションを拡張できることが重要です。アプリケーションが双方向で自由に行き来できるようにすることは必須です。
――Xiはホステッドプライベートクラウドなのですか?
パンディ氏 Xiはマルチテナントクラウドです。パブリッククラウドとは融合していくと考えています。支払い方法、アイデンティティ、ネットワーク、セキュリティといった要素が統合されていれば、プライベートとパブリックの定義上の境界はあいまいになります。
――顧客はホスト単位で借りるわけではないということですね。
パンディ氏 ホスト単位ではありません。これは「サービスとしてのホストクラスタ」ではなく、「サービスとしてのDR」「サービスとしてのインフラ」です。例えばRPOやRTOをサービスとして提供します。その方が、ハードウェア中心型の消費モデルよりも理屈に合っていると考えるからです。
――GCPとの提携をどのように表現しますか?
パンディ氏 これは「ハイブリッドクラウド」をテーマとしたパブリッククラウドサービスに関する初めての取り組みです。私たちがGoogleから学ぶことはたくさんあります。セキュリティ、ネットワーキング、地理的分散、それに加えてTensorFlowやKubernetesに関することが挙げられます。もちろんGoogleも、私たちからエンタープライズクラウドについて学ぶことはあるでしょう。Win-Winの関係だと思っています。2社が一緒になり、「顧客のために、お互いから学ぼう」と言っているからです。
――Xiを将来、Nutanixをオンプレミスで使っていない顧客に対して提供していくつもりはあるのですか?
パンディ氏 ええ。私たちがWANを通じた真にシームレスなワークロードの移行についてのノウハウを確実なものにした時点で、考えるでしょう。ただし、とにかく移行がうまくできることが重要なテーマです。
――以前パンディさんが話していたことの1つは、「パブリッククラウドについてもインビジブルなものにしたい」ということです。これについての進展を、どう表現しますか?
パンディ氏 Calm、Xi、GCPに関する発表は全て、「パブリッククラウドをインビジブルなものにする」、すなわちプライベートクラウドとパブリッククラウドの境界、そしてCalmの場合はパブリッククラウド間の境界をあいまいなものにするものです。
アプリケーションがデプロイ先から抽象化されるほど、境界はぼやけていきます。私たちが全てのアプリケーションを、真の意味でモバイルにできるなら、これが実現できると考えています。
従って最大の難関は、アプリケーションを十分にモバイルなものにできるかということにあります。ITでは、コンピュート、ストレージ、ネットワーキングなどのコンポーネントで語りがちです。しかし、クラウドは、これら全てを統合し、問題はアプリケーションに移動します。
――その文脈でいうと、Nutaixにおける注力分野も、インフラレイヤーからアプリケーション管理のレイヤーにシフトしつつあるのですか?
パンディ氏 どちらも必要だと考えています。オペレーティングシステムの基本的な機能に関する細部へのこだわりを怠るわけにはいきません。コンピュート、オーケストレーション、スケジューリング、セキュリティといった要素は欠かせません。CalmやXiは、人々がこれをどう消費するかという部分で役割を果たします。優れた製品を作っていないのであれば、消費モデルをいくら作り上げても意味がありません。消費モデルこそ作ったものの、優れた製品を構築できなかったために消えていったクラウド事業者は多数存在します。
――ポッティさんが2016年に言っていたことがほぼ、今回のカンファレンスで発表されましたね。
ポッティ氏 今回の発表内容を簡潔に説明させてください。私たちはソフトウェアファーストの企業になりつつあります。重要な事実は、当社、Dell EMC、Lenovoに加え、Cisco、HPE、IBMと、複数のプラットフォームへの対応を進めることで、市場の60〜70%を(潜在的に)カバーしたことです。他のプラットフォームにも拡張を続けます。
カギとなる点は、これによって顧客がソフトウェアオンリーの形で(私たちの技術を)消費できるようになったことです。ソフトウェアを買えば、どのプラットフォームにも使えるとも言えます。
――しかし、Dell EMCやLenovo、IBMとのOEM契約は続けるのでしょう?
ポッティ氏 OEM製品を、これらのベンダーから購入し続けられることには変わりがありません。一方、当社は大企業に対して、ソフトウェアとして売ることもできます(注:これをOEM各社のサーバに適用することも可能という意味)。こうしたことが、戦略的な重要性を増してきています。
大企業は、ほぼ必ずと言っていいほど、2社のハードウェアプラットフォームを使っていきたいと言います。Nutanixはソフトウェアファブリックとして、この2種のハードウェアを使い続けながら、単一の使い勝手を実現できます。
当社にとって、これは非常に大切なことです。エンタープライズにおけるプライベートクラウドを、ソフトウェアの消費モデルで提供できる。しかもこれを、ハイパーコンバージドのフォームファクタで届けられます。
ポッティ氏 もう1つの重要な発表はCalmです。複数のハードウェアとハイパーバイザーに加え、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、GCPといった、複数の(パブリック)クラウドを使いたいと考える人がいます。従って当社のソフトウェアをこれらのクラウドに拡張して適用し、単一の運用管理ができるようにする必要があります。
これがCalmの仕事です。ただし、こうした機能はプラットフォームに組み込まれていなければなりません。Calmは一般的なアプリケーションオートメーションにも適しています。AWS Marketplaceのようにアプリケーションをオンデマンドで消費できるような環境を、プライベートクラウドでも実現したいと考える人は多いのです。
次に、アプリケーション指向を強めるほど、インフラをインビジブルに(見えないように)することができます。(クラウドとの連携は)単なるAPIの翻訳でプロビジョニングを行うだけでなく、運用も複数のクラウドにまたがり、単一の画面で行えるようになります。
次に来るのがキラーアプリともいえる機能です。AWSをどのように使っているか、利用状況を自動的に情報として吸い上げ、AWSで動いているアプリのうちどれが安定的にリソースを消費するもので、どれが動的に変化するものなのかを知ることができます。安定的なアプリの場合、オンプレミスに移行した方がいいかもしれません。オンプレミスのNutanixで動かした場合のコストと比較し、オンプレミスが良ければ、1クリックで移行できます。オンプレミスとパブリッククラウドで、双方向でこれができるわけです。
こうした移行は、特に既存アプリケーションの場合、言うほど簡単ではないと思います。プラットフォームによってパフォーマンス特性は異なりますから。
1クリックでのプロビジョニングは役立ちます。運用に関しても、APIを通じてできますから問題ありません。やりにくいのは既存アプリケーションの「リフト&シフト」です。これに関しても可視化を通じ、「どれをどこに移行すべきか」を判断しやすくしていますが、側面支援にとどまることは確かです。誰かがサイジングやマイグレーションの手伝いをする必要があります。
ポッティ氏 そこで第3の発表であるクラウドサービスが登場します。企業で多いのはやはり従来型のアプリケーションです。従って、エンタープライズアプリを真にサービスとして提供するための唯一の方法は、ハイブリッドクラウドの両側に同一のプラットフォームスタックを用意することです。
いい利用例として、ディザスタリカバリーが考えられます。AWSやGCPに対して、オンプレミスの既存アプリケーションのディザスタリカバリーを行っているユーザーは非常に少数です。既存アプリケーションについては、従来型の方法で自社のデータセンター間でディザスタリカバリーを行っているか、業者に高額な料金を支払って運用させています。
そこでXiが登場します。あなたがオンプレミスのNutanixプラットフォーム上でExchangeやSQL Serverを動かしているなら、「プロテクト(保護)」のボタンをクリックすることで、オンプレミスのアベイラビリティゾーン、Xiのアベイラビリティゾーンを選択してディザスタリカバリーが図れます。
AppleのiCloudと同様、1クリックさえすれば、ネットワークが設定され、データが複製され、仮想マシンがディザスタリカバリーの対象となります。
Xiは当初ディザスタリカバリーのみをサービスとして提供しますが、その次には、リフト&シフトによる移行にも対応します。
まとめると、全てにまたがるソフトウェア展開、ハイブリッドアプリケーションマネジメントのCalm、そしてエンタープライズアプリをパブリッククラウドにデプロイできるようにするのがXiです。
一方、「それは素晴らしいが、既存のアプリケーションとクラウドネイティブアプリケーションの双方を単一のクラウド事業者で賄いたい」という人たちがいます。
そこでXiをGCPと同一のプラットフォーム上で動かし、相互のサービスが使えるようになります。
――大まかにいえば、「AWS Cloud on AWS」と同様な構成ですね。
ポッティ氏 違いは、まずプライベートクラウド側です。VMwareがvCenterとvRealize Suiteでインタフェースが統合されていないのに対し、Nutanixは単一のインタフェースで提供できます。
もう1つはGCPとの統合利用です。NutanixスタックとGCPは、2つのデータセンターには見えません。1つのデータセンターのように見えます。
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