ソフトバンクは2017年8月末、Google Cloud Platform(GCP)のプレミアサービスパートナー認定を取得したことを発表した。クラウドエースと共同で、日本のGCP需要に対応していくという。ソフトバンクICTイノベーション本部クラウドサービス統括部統括部長の鈴木勝久氏と、クラウドエース代表取締役の吉積礼敏氏に、両社の狙いを聞いた。
ソフトバンクは2017年8月末、Google Cloud Platform(GCP)のプレミアサービスパートナー認定を取得したことを発表した。同社はこれに先立ち国内初のプレミアサービスパートナーであるクラウドエースとの提携を発表しているが、クラウドエースと共同で、日本のGCP需要に対応していくという。
ソフトバンクICTイノベーション本部クラウドサービス統括部統括部長の鈴木勝久氏と、クラウドエース代表取締役の吉積礼敏氏に、両社の狙いを聞いた。
ソフトバンクはクラウドに関し、VMware vSphereベースのIaaSサービス「ホワイトクラウド」を運営する一方、Office 365、G Suiteなど、SaaSについては主要クラウド事業者のサービスを再販してきた。では、GCPへの取り組みは、これらとの関係で、どう位置付けられるのか。
「ホワイトクラウドでカバーできない顧客の要望に、GCPでしっかり対応したい。当社ではG Suiteをかなりの企業に販売しているが、その顧客から、『早くGCPを提供してくれないか』という要望を受けてきた。これに応える狙いもある」(鈴木氏)
GCPのIaaSを積極的に広めたいというつもりはあまりなく、新しいビジネスに関するITニーズに応えたいという。具体的には、Big Queryを使ったビッグデータ解析へのニーズが既に顕在化しつつあり、大手の顧客から具体的な相談も受けているという。
「(だが、)Big Query周りをはじめとして、当社のノウハウが全く足りていない。国内でGCPといえば吉積さんなので、『一緒にGCPのマーケットを広げていきたい』とお願いして提携に至った」(鈴木氏)
クラウドエースはソフトバンクに対し、技術者トレーニングや提案に関する支援をする他、ソフトバンクが受注する案件についてシステムインテグレーションも行っていくという。
吉積氏は、「GCPを多くの人々が使ってくれることが大きな目標。ソフトバンクが扱い、当社がサポートすることで、市場は一気に広がっていくと思うし、GCP全体に対してもいい影響がある」と話す。
吉積氏も、GCPの普及のきっかけになるのはBig Query、その次にTranslate APIなど、機械学習系のAPIだという。
「IaaSだけでAmazon Web Services(AWS)と勝負すると、採点表では必ず勝つが、実績だけでAWSが選ばれてしまう。だが、Big Queryに関しては、開発者の間の評判でいえば、Amazon Redshiftに圧勝している。RedshiftとBig Queryは、根本的な考え方が全く異なる。Redshiftは枠をあらかじめ抑える手法。これに対し、Big Queryはリクエストを投げた時だけスケールして動き、その分だけ課金するモデル。コスト効率がいいし、無制限の性能が出る可能性もある。機械学習系のAPIも、家内制手工業的な作業は不要で、目的に応じて呼び出せばいいので、すぐ使える。これから大きく広まっていくと思う」(吉積氏)
とはいえ、Big Queryについては現在のところ、既存のデータウェアハウスを移行し、例えば1日1回しか問い合わせができなかったところを、高い頻度でできるようにしたいといったニーズが多いという。一方で、自力で新しいビジネスへの適用を進めている先進ユーザーの成果が、2017年の年末から2018年にかけてはっきりしてくると、これを受けてより多くの企業が同様な取り組みをするようになるのではないかと吉積氏はいう。
2社は今後、システムインテグレーションの実績をベースに、共同で用途に応じたソリューションを開発していきたいという。
「まずは日本国内のGCP市場を吉積さんと広げたい。G Suiteで既にある程度の実績を作っているので、GCPでも同じことができればいい」(鈴木氏)
「全力で日本中にGCPを広げたい。一方でクラウドエースも直接GCPのリセールをしているので、世界一GCPを売る会社として、ソフトバンクとクラウドエースでワンツーフィニッシュを目指したい」(吉積氏)
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