ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントは2017年9月20日、メディアカンファレンスを開催し、2017年度下期事業展開として、AIを応用した2つの取り組みを開始すると発表した。
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントは2017年9月20日、メディアカンファレンスを開催し、2017年度下期事業展開として、AI(人工知能)を応用した2つの取り組みを開始すると発表した。
1つ目は、同社が運営する旅行比較サイト「goo旅行」における、AIを使った旅行提案サービス。2017年9月20日から導入した。旅行先が決まっていない人に対して、対話を通じてAIがユーザーの気分を察して旅を提案するという。
具体的には、「教えて!goo」のQAデータを基にした回答文章の自動生成技術と、キャラクターを持った対話技術に、ユーザーの興味や気分を判別する技術を組み合わせた。
「教えて!goo」「gooブログ」「goo旅行」「goo地図」などから取得した旬な情報に加え、ユーザーとの対話データを基に、ユーザーの気分や希望を反映した旅行先やプランを提案する。周辺の観光スポットや宿泊施設も提示する。
このサービスでも使われている、同社が開発した技術「gooのAI」は、gooで蓄積したインターネット関連技術やノウハウ、独自のAI技術とNTTグループのAI関連技術「corevo」を利用している。
こうした取り組みについて、同社 メディア事業部 ポータルサービス部門長の鈴木基久氏は「スマートスピーカーやチャットサービスなど、対話形式のUI(ユーザーインタフェース)が広まりつつある。gooが20周年の今、全てのサービスを、検索形式から対話形式に作り替える覚悟で取り組んでいる」と話す。
もう1つの取り組みは、同じく2017年9月20日から開始した、「gSntk」のモニター募集だ。gSntkは、スマートフォンやスマートスピーカー、IoT(Internet of Things)などを使って対話形式でユーザーの生活を変革するプロジェクト。対話形式で、毎日のニュースや検索といったgooの各種サービスを提供する。加えて、IoT機器を接続することで、家電の制御も可能にする。
既にスマートスピーカーはAmazonやソニーなど数社から発売されているが、NTTレゾナントによると、それらはあくまでもユーザーの要求に対して反応することが中心となっているという。同社が目指すスマートスピーカーやチャットを使った対話サービスは、ユーザーの思考を読み解き、要求に先んじて「あうんの呼吸」でアクションを起こすものだとしている。
例えば、ユーザーが応援しているスポーツチームに得点が入ったときに、ユーザーがわざわざ調べなくても得点したことを通知する。あるいは、旅行計画を立てる際にどこに行くかを入力しなくても、ユーザーの気持ちをくみ取って最適な旅行プランを提案する。ユーザーが要求を出す前に、ユーザーが知りたいニュースや天気を伝えたり、天気や気温、帰宅時刻を考慮して、寒い日には事前に暖房を入れて部屋を温めたりすることも想定する。
ユーザーが必要とするときに必要な情報を、こうした「あうんの呼吸」で提供するために、IoT機器と連携してユーザーの出勤時間や帰宅状況、位置情報や家電の操作行動からよく見ているテレビ番組の情報、健康状態などを取得する。ただし、こうした情報を取られることに、セキュリティ上の不安や心理的な抵抗を感じるユーザーがいることが想定される。NTTレゾナントでは、この点に関してもgSntkを通じて、ユーザーの抱えるリスクや日本に必要な法律の整備が何なのかも明らかにしていくとした。
モニター募集を開始するに当たり鈴木氏は、次のように話す。
「日本人は日常生活において、世界の人々が驚愕するサービス、おもてなしを享受している。そうした方々からのご意見を取り込むことで、外資勢に対する競争優位を獲得できると信じている」
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