NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は2017年10月30日、ヴイエムウェアと共同で、NTT Comがヴイエムウェアの「VMware Cloud Foundation」による専有型クラウド、および「VMware vCloud Director」を活用した共有型クラウドを提供すると発表した。2社はどちらもマルチクラウドを目指してきたが、戦略的にも戦術的にも、ますます同期する関係になってきた。
NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は2017年10月30日、ヴイエムウェアと共同で、NTT Comがヴイエムウェアの「VMware Cloud Foundation」による専有型クラウドおよび「VMware vCloud Director」を活用した共有型クラウドを、2017年度第4四半期より、国内およびグローバルで提供開始すると発表した。
NTT Comは、「VMware Cloud Services」の活用についても検討を進めていく。2社はどちらもマルチクラウドを目指してきたが、戦略的にも戦術的にも、ますます同期する関係になってきた。
NTT Comはこれまで、同社のクラウドサービス「Enterprise Cloud」で、VMwareベースのホステッドプライベートクラウドサービスを提供してきた。つまり、「NTT Comのデータセンターで運用されるVMware vSphere環境だが、ハードウェアは1顧客で専有する」という形態だ。NTT Comは今回、ヴイエムウェアのCloud Foundationを採用したホステッドプライベートクラウドサービスおよびVMwareベースの共有型クラウドサービスを提供する。既存サービスは継続するという。
NTT Com取締役クラウドサービス部長の森林正彰氏によると、2つのサービスを双方提供するクラウド事業者は、国内では1社のみ。グローバルでもあと1社しかないという。
では、NTT Comによる従来のホステッドプライベートクラウドサービスと、Cloud Foundationを採用したホステッドプライベートクラウドサービスとの違いは何か。
Cloud FoundationではストレージにヴイエムウェアのvSANを使っているという違いもあるが、大きいのは仮想マシンの移行のしやすさ。顧客におけるVMware vSphere環境から、NTT ComのCloud FoundationによるvSphere環境へ、アプリケーションを仮想マシンとして、稼働したまま簡単にライブマイグレーション(vMotion)ができる。
共有型クラウドでも、「VMware vCloud Availability for vCloud Director」というツールの利用により、顧客のvSphere環境上のシステムを対象としたディザスタリカバリー(災害復旧)サービスが提供できる。
結局、今回の発表の要点は、企業の社内データセンターのアプリケーションを、積極的にNTT Comのクラウドサービスへ取り込んでいく取り組みにある。
ヴイエムウェアは、仮想コンピューティング環境に加え、ストレージ、ネットワークを統合的に提供、vSphere環境導入顧客に対し、導入、運用管理、セキュリティ/データ保護の観点でのデータセンター刷新を訴えてきた。一方で、VMware Cloud Servicesなどにより、主要パブリッククラウド、VMwareクラウドパートナー、「VMware Cloud on AWS」と顧客データセンターを統合、マルチクラウドの利用、運用管理、セキュリティ/データ保護を支援する取り組みを進めてきた。
一方、NTT Comはネットワークサービスで、「SD-Exchange」という、主要パブリッククラウドと同社のデータセンター/クラウドサービスを相互接続するサービスを提供。一方、クラウド運用/可視化ポータル「Cloud Management Platform(CMP)」では、同社のサービスに加え、Microsoft Azureなど他社のサービスとの連携を進めている。
NTT Comは今後、VMware Cloud Servicesが提供する多様な機能を、API経由でCMPに取り込んでいくという。ただし、具体的な計画は明らかにしていない。
NTT Comとヴイエムウェアは、これまでも多様な協業を発表してきたが、過去1、2年は「マルチクラウドの統合利用」という価値を追求するという点で、さらに親和性が高まっている。CMPとVMware Cloud Servicesの今後の連携は、特に注目される。
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