2017年10月31日に、vFORUM 2017のため来日していたVMwareのパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)CEOにVMware on AWSとIoTについて聞いた。
2017年10月31日に、vFORUM 2017のため来日していたVMwareのパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)CEOにVMware on AWSとIoTについて聞いた。筆者の質問とゲルシンガー氏の答えは次の通り。
――VMware Cloud on AWSは、注目され過ぎだと思っていますか? また、VMwareのマルチクラウド戦略は多くの人々に理解されたと思いますか?
(笑って)プライベートクラウド、パブリッククラウドそれぞれのリーダーが、競合する関係からパートナーになったわけですから、多くの人が「ゲームチェンジング」だと言っています。そうはいっても、サービスをスタートしたばかりですし、日本(のデータセンター)で利用可能になるのは、2018年の後半です。VMware Cloud on AWSで大規模なワークロードを扱うようになるまでには、まだやることがたくさんあります。
マルチクラウドおよびハイブリッドクラウドに向けた戦略については、ある程度の期間訴えてきました。4年前、ハイブリッドクラウドに向けた当社の考え方について語り始めたころ、ほとんどの人は取り合わなかった。ところが現在では、この考え方が大きな支持を獲得しています。
他のベンダーも、例えばMicrosoftはMicrosoft AzureとAzure Stackを組み合わせて語るようになり、GoogleもCisco Systemsとの提携を発表しました。他のクラウドベンダーも新たな動きを見せており、これら全てがVMwareの戦略を追認しており、VMwareはこうした戦略におけるリーダーともいえる存在になっています。この意味で、市場は私たちの戦略を理解し始めていると思います。
とはいえ、多くの場合、私たちはまだ、この戦略のメリット全てを、顧客に届けることができているとは言えません。今後1年ほどで顧客はマルチクラウド、ハイブリッドクラウドを大規模に活用するようになり、こうした考え方のパワーをフルに理解していただけるようになると考えています。
――では、VMware on AWSは、顧客のマルチクラウド戦略に対する理解に、どれだけ貢献していると思いますか?
非常に大きく貢献しています。AWSは明確に、パブリッククラウドのリーダーです。世界中の企業が、レベルは多様であるものの、何らかの形でAWSを使っています。利用は確立したといえます。VMware vSphereの利用はさらに確立しています。この2つが合わさったことで、それまでマルチクラウド戦略に採用すべき価値があるかどうか確信が持てなかった顧客も、今では明確に確信を持つようになってきました。
Dell Technologiesグループとして最近発表したIoTへの取り組みについて聞きたいと思います。この取り組みにおけるVMwareの正確な役割は何ですか? IoTは非常に多様性に富んだ世界です。汎用的なソリューションをいくら作ったとしても、多くの企業に使われないということは考えられます。VMwareのソフトウェアおよびサービスで、どのような分野をカバーしていくのですか?
製品としてこれまで発表しているものとしては、まず「VMware Pulse IoT Center」があります。管理製品で、スマートデバイスやIoTゲートウェイとの接続と管理の自動化を担います。また、IoTアプリケーションを構築し、データを収集するためのプライベートクラウドプラットフォームを提供しています。さらに、新世代IoTゲートウェイの開発を支援する「Liota」という技術も発表しています。
また、「VMware NSX」と「VMware AirWatch」はリーチを広げてくれます。数百万台のデバイスが、AirWatchで管理されています。トヨタ自動車との取り組みにも、AirWatchが生かされています。おそらくLiotaとともに、車載プラットフォームを構成します。
Dellとの連携で、同社の多様なハードウェアプラットフォームを活用できます。さらに、私たちはアプリケーション、データ、アナリティクスをやりませんが、エコシステムパートナーにこれを任せることができます。
当社はインフラのレベルでIT/OTを接続し、この環境を運用する役割を担います。しかし、Pivotalと発表したPivotal Container Services(PKS)との統合利用も可能です。
こうしたVMwareのIoTへの取り組みは、顧客の考え方とも一致します。例えばBoschはVMwareをベースに、「Bosch IoT Cloud」を展開しています。
あなたの言うように、IoTでは非常に多様な技術群が生まれてくるでしょう。市場はまだ初期の段階ですから、誰が勝者で、誰が敗者になるかは明確ではありません。それでも、当社はこれまでのところ肯定的な反応を受けています。
――産業分野としてはどれに注力しているのですか?
当社が現時点で活発に活動している分野は、工業、自動車、医療、小売業です。
――そして、エッジコンピューティングが絡むソリューションに、積極的に関与していくのですね。
ええ。そうです。
日本でCIOフォーラムを開催しましたが、私は日本企業にとって、IoTは非常に魅力的なものになると考えています。日本の企業は、高品質、高セキュリティで知られ、製造業における分野の多くが日本で生まれています。こうしたことが、IoTアプリケーションでは必須になると思います。ソフトウェアに支配されてきたこの10年は、日本が力を発揮しきれなかったかもしれませんが、IoTでは日本企業が非常に強力な存在になると思います。
IoTにおける富士通との提携も、まさにこの理由から行いました。同社の培ってきた強みの多くを、IoTアプリケーションに生かすことができると思います。同じ理由で、他の日本企業とのパートナーシップも進めていきたいと考えています。
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