Windows 10 Fall Creators Updateで導入された新たなデザイン体系であるFluent Design SystemによりアプリのUIにはどう変わるのか。その概要を見てみよう。
Windows 10のFall Creators Update(1709)でFluent Design Systemが導入されたことは、ニュースなどでご存じだろう。では、それは具体的にはどのようなものなのだろうか? また、どのようにアプリに実装すればよいのだろうか? この特集では、開発者の視点からFall Creators Updateで導入されたFluent Design Systemの実際の機能を見ていこう。
なお、本稿に掲載しているWindows 10はバージョン1709(ビルド16299.19)、アプリは2017年11月上旬時点のものである。バージョンやビルドが異なるとその表示も異なる場合があるので、あらかじめご承知おき願いたい。
発表時にはコンセプトだけが先行したので、具体的なイメージは分かりにくかったと思う。Fall Creators Updateでは、コンセプトに沿った4つの機能が搭載された。
Fluent Design Systemには、次の図に示すような5つのコンセプト(全体を貫く統一的な考え方)がある。
このFluent Design Systemの5つのコンセプトに沿った機能が、UWP(Universal Windows Platform)に搭載されていく。Fall Creators Updateでは、次の表に示す4つの機能が追加された。
UWPの新機能 | 説明 | 実現するコンセプト |
---|---|---|
アクリル素材(Acrylic material) | ウィンドウやコントロールの奥にあるものを、すりガラスのように透過させる | マテリアル、深度 |
接続型アニメーション(Connected animation) | 画面遷移の前後で同じ要素のサイズ/位置の変更をアニメーションでつなぐ | モーション |
視差(Parallax) | 画面の「手前」にあるものの移動に合わせて、「奥」にあるものをゆっくり動かす | モーション、深度、スケール |
表示(Reveal highlight) | 要素上にマウスがホバーされたときに境界を表示するとともにマウスカーソル付近を明るくする | ライト |
これら4つの機能について、後半で詳しく見ていく。
なお、Fluent Design Systemはこの4つの機能だけで終わりではない。Fall Creators Updateで追加されたのがこれだけであって、今後のWindows 10のアップデートでさらに増えていくはずだ。
以上の機能はUWPでなくても実装は可能だ。UWPでは便利なAPIが提供されていて簡単だが、それ以外のプラットフォームでは全て自前で実装することになるので手間がかかるという話である。実際、WPF用の「アクリル素材」効果(正確には「アクリル素材」効果のエミュレーション)など、幾つか実装が公開されている(次の画像)。
また、「アクリル素材」効果が内部的に利用しているAPIはCreators UpdateでUWPに搭載済みなので、Creators Update用のUWPアプリでも実現可能だ(次の画像)。
Fluent Design Systemとはコンセプトであるから、その実装は工夫次第というわけだ。繰り返すが、Fall Creators Updateでは簡単に実装できるAPIがUWPに提供されたということである。
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