ジュニパーネットワークスが2017年11月22日、レッドハットと提携し、OpenStackベースの通信事業者向けITインフラ基盤「Contrail Cloud 2.0」の国内展開を発表した。そこで、ジュニパーネットワークス技術統括本部テクニカルビジネス推進部部長の上田昌広氏と、レッドハットAPACテクノロジーオフィス NFV/SDN チーフテクノロジストの杉山秀次氏に、両社の狙いを聞いた。
ジュニパーネットワークスが2017年11月22日、レッドハットと提携し、OpenStackベースの通信事業者向けITインフラ基盤「Contrail Cloud 2.0」の国内展開を発表した。そこで、ジュニパーネットワークス技術統括本部テクニカルビジネス推進部部長の上田昌広氏と、レッドハットAPACテクノロジーオフィス NFV/SDN チーフテクノロジストの杉山秀次氏に、両社の狙いを聞いた。
ジュニパーは「Contrail Cloud」という名称で、SDN(Software Defined Networking)コントローラ「Juniper Contrail Networking」などをOpenStackに組み合わせたNFV向けソリューションを提供してきた。
「Contrail Cloud 1.0」では、CanonicalのOpenStackディストリビューションを用い、ストレージにはCephを採用していた。新バージョンでは、レッドハットの「Red Hat OpenStack Platform」に切り替え、同じレッドハットが開発元を買収しているCephを引き続き利用。これにContrail Networkingを組み合わせている。構成自動化ツールは、PuppetからAnsibleに移行したという。
Contrail Cloud 2.0ではまた、新たにオーケストレーションツール「Juniper Contrail Manager」、NetronomeのSmart NIC、ネットワーク可視化の「Juniper AppFormix」を搭載している。AppFormixは可視化にとどまらず、機械学習に基づいてSLA違反の予知、さらには自動復旧ができることも特徴だ。また、事前検証済みのVNFを用意しており、ニーズに応じて利用できるようにしている。これにはセキュリティルータの仮想アプライアンス版である「Juniper vSRX」の他、Affrimed NetworksのvEPCがある。
杉山氏は、動作が確認されたvEPCをソリューションに組み込んでいること、そしてハードウェアの活用によって遅延・ジッタを制御できる点で注目が高まっているSmart NICをいち早く採用していることは大きいと言う。
「NFV」と一言でいってもその意味することはさまざまだが、ジュニパーの上田氏は上記により、vEPCからvCPE、セキュリティ、IoTなど多様な用途に、パッケージ感覚で適用できるようになったと話す。
上田氏は、テレコクラウドあるいは通信事業者におけるNFVへの取り組みで、運用の複雑さ、SLAの担保、可視化、リスク、スキルギャップが大きな課題となっているとし、Contail Cloud 2.0ではこれら全てにおいて顧客を支援できるとする。
Contrail Cloud 2.0は、ジュニパーが販売し、構築、運用・保守を担う。全てのコンポーネントについて、ジュニパーが問い合わせ窓口となる。通信事業者は、検証から運用まで、スキル不足に悩むことなくNFVを推進できるという。
レッドハットにとってジュニパーは、OEMパートナーの位置付けだ。両社は今回の製品のリリースに向けて、共同での検証を続けてきたという。
しかし、レッドハットにとって通信事業者は、OpenStack製品の重要な訴求対象だ。2社の販売における役割分担、あるいは棲み分けについてどう考えているのだろうか。
杉山氏は、「レッドハットは(通信事業者において)クラウドネイティブな開発プラットフォームを推進する担当者(部署)に強い」と話す。OpenShift Container Platformの基盤として、OpenStackを導入するケースが多いという。一方ジュニパーは、ネットワークサービスの担当者(部署)に信頼されており、Contrail Networkingでも既に実績があることから、NFVではジュニパーが前に立つのも自然だとしている。
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