2018年1月の緊急パッチは、脆弱性を根本的に解決するものではなく、“脆弱性のリスクを軽減する”機能を提供するものです。また、今回の問題はプロセッサの脆弱性であり、緊急パッチに含まれる軽減策のうち、CVE-2017-5715に対する軽減策は、プロセッサのマイクロコードの更新と併せて初めて機能します。通常、マイクロコードの更新はBIOSやファームウェアの更新として、PCベンダーから提供されます。つまり、Microsoftが提供するパッチを適用しただけでは不十分なのです。
Microsoftは緊急パッチの提供と併せて、パッチおよび軽減策の対策状況をチェックするためのWindows PowerShell用「SpeculationControl」モジュール(Get-SpeculationControlSettingsファンクション)を提供しています。Windows 10、Windows Server 2016、Windows Server バージョン1709の場合は、Windows PowerShellまたはPowerShell ISE(Integrated Scripting Environment)を開き、以下の2つのコマンドラインを実行します(「-Scope CurrentUser」オプションを指定する場合は、Windows PowerShellを管理者として開く必要はありません)。
PS C:\> Install-Module SpeculationControl -Scope CurrentUser PS C:\> Get-SpeculationControlSettings
なお、Get-SpeculationControlSettingsコマンドレットを実行するには、Windows PowerShellの実行ポリシーを変更する必要があります。それには、次のコマンドラインを実行して、一時的に実行ポリシーを「RemoteSigned」に変更してください。
PS C:\> $SaveExecutionPolicy = Get-ExecutionPolicy PS C:\> Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser PS C:\> Get-SpeculationControlSettings PS C:\> Set-ExecutionPolicy $SaveExecutionPolicy -Scope CurrentUser
2018年1月15日現在のモジュールのバージョンは「1.0.4」です。さらに更新されたバージョンが提供されている場合がありますので、以下の2つのコマンドラインで確認、更新してください。
PS C:\> Get-Command Get-SpeculationControlSettings(またはGet-InstalledModule SpeculationControl) PS C:\> Update-Module SpeculationControl
対策の実施と確認が完了し、モジュールをアンインストールする場合は、以下の2つのコマンドラインを実行します。「Update-Module」を実行して新しいバージョンをインストールした場合は、「Get-InstalledModule」の結果からモジュールが消えるまで「Uninstall-Module」のコマンドラインを繰り返し実行してください。
PS C:\> Uninstall-Module SpeculationControl PS C:\> Get-InstalledModule SpeculationControl
Windows 8.1およびWindows Server 2012 R2以前の場合は、以下のTechNetスクリプトセンターのサイトから「SpeculationControl.zip」をダウンロードして、「SpeculationControl」モジュールをインポートすることで、Get-SpeculationControlSettignsを実行できるようになります。
具体的な操作手順については、TechNetスクリプトセンターの説明か、クライアント向けのガイダンスに従ってください。
Get-SpeculationControlSettignsを実行したら、「Suggested actions」の表示を確認してください。「Suggested actions」が表示されなければ、現時点で可能な対策は全て実施済みです。追加の対策が必要な場合は、次の3つのいずれか(または全て)が表示されます。
以下の画面1は、現時点で利用可能な全ての対策が完了しているWindows 10 バージョン1709のGet-SpeculationControlSettingsの実行結果です。オールグリーンの状態であることに注目してください。
画面2は、緊急パッチをインストールする前のWindows 7の状態です。なお、x86版のWindows 7では、現状、パッチのインストールとファームウェアの更新が完了しても、CVE-2017-5754については軽減策が有効化されることはありません(前出の表1を参照)。
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