Amazon Web Services(以下、AWS)は2018年6月1日、AWS Summit Tokyo 2018で、機械学習プロセス自動化サービス「Amazon SageMaker」およびBIツールの「Amazon QuickSight」についての新機能を紹介した。SageMakerはChainerに対応、QuickQightはライセンスコストの無駄を防ぐ新料金体系が注目される。また、AWS Fargateを東京リージョンで2018年7月に提供予定という。
Amazon Web Services(以下、AWS)は2018年6月1日、AWS Summit Tokyo 2018で、機械学習プロセス自動化サービス「Amazon SageMaker」およびデータ可視化(BIツール)の「Amazon QuickSight」についての新機能を紹介した。両サービスは東京リージョンで提供開始となっている。また、コンテナ環境の管理を不要とする「AWS Fargate」を東京リージョンで2018年7月に提供予定という。
SageMakerは、AWS re:Invent 2017で発表された機械学習パイプライン統合サービス。開発からトレーニング、適用に至るプロセスを省力化する。詳しくは、こちらの記事をご覧いただきたい。
SageMakerではこれまで、機械学習フレームワーク(ライブラリ)としてMXNetおよびTensorFlowに対応していた。今回の機能強化ではこれらに加え、Preferred Networks が開発を主導しているChainerに対応。「特に日本のユーザーに喜んでもらえる機能強化になった」(アマゾンウェブサービスジャパン 技術本部エンタープライズソリューション部 部長 瀧澤与一氏)という。
合わせて、推論コードをエッジで動かすためのソフトウェア群「AWS Greengrass ML Inference」でもChainerに対応した。
SageMakerのユーザーとしては、クックパッドの他、Digital Globe、Intuit、Grammerly、Thomson Reutersなどの名が挙がっている。
QuickSightは2015年のre:Inventで発表されたBI分析サービス。「動きが軽快な点はこのツールの特徴の1つ」と、前出の瀧澤氏は話す。詳しくはこちらの記事をお読みいただきたい。
QuickSightに関する発表の1つは、専用のデータベースエンジン「SPICE」のデータ更新間隔を、新たに最小で1時間単位に設定できるようになったこと。これまでは1日当たり最多で5回だった。つまり、リアルタイムでのデータ更新は現時点でもできない。
また、プライベートVPCのデータソースへのアクセスもできるようになった(今回正式リリース)Direct Connectを併用すれば、オンプレミスのデータソースにもアクセスできる。データソースタイプに関して、QuickSightはRedshift、RDS、S3、Athena、Aurora、IAM、CloudTrail、Cloud DirectoryなどAWSサービスのデータは当然ながら、他のデータソースにも対応している。オンプレミスにもアクセスできることにより、ユースケースの広がりが期待できる。
同ツールに関する発表で最も注目されるのは、新たな料金体系。いわゆる「ロールベース(役割に応じた)」で、さらにセッションベースの課金が導入された。
組織におけるBIでは、ダッシュボードの構築などはせず、閲覧だけを行うユーザーが大部分を占める。また、全く使わないユーザーが出てくることも考えられる。こうしたユーザーを「Readers」としておけば、料金は各ユーザーが30分利用するごとに0.30ドルという。また、最高でも1ユーザー当たり5ドルであり、いくら使ってもそれ以上の支払いはない。
絶対的な料金レベルもさることながら、アナリティクスツールを組織内に広く展開しようとする場合に課題となりがちな、ツールのライセンスコストの無駄を防ぎやすくなったといえる。
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