Interop Tokyo 2018 、IoTやAIと、ネットワークの関係を考えるInterop Tokyo 2018の歩き方(3)

2018年6月13〜15日に千葉・幕張メッセで開催される、ネットワークとセキュリティを中心としたITの展示会、「Interop Tokyo 2018」の見どころを、Best of Show Awardノミネート製品を通じて紹介する本連載。第3回の今回は、AI、IoT、サーバ、ストレージなど、ノンジャンルで特徴的な製品を紹介する。

» 2018年06月14日 05時00分 公開
[三木泉@IT]

 2018年6月13〜15日に千葉・幕張メッセで開催される、ネットワークとセキュリティを中心としたITの展示会、「Interop Tokyo 2018」の見どころを、Best of Show Awardノミネート製品を通じて紹介する本連載。第3回の今回は、AI、IoT、サーバ、ストレージなど、ノンジャンルで特徴的な製品を紹介する。

製造の現場では、自分たちで解析をしたい

 工場における製造設備から取得するデータを、品質/生産性改善につなげたいという話は多い。その意味では、IoTは単なるホットなITトレンドではない。IIoT(Industrial IoT)は、製造現場における「今」のニーズだ。

 多くの企業では、製造現場におけるデータを収集しておきながら、活用できていない。活用しようとしている企業でも、通常はデータを現場からIT/分析担当部署に送り、解析を依頼しなければならない。依頼した後、数週間後に分析結果が出てくるが、望みのものではなかったりする。逆に、分析を依頼された部署にとっても、整備されていないデータを渡されても、有益な解析ができないということがある。

 マクニカネットワークスが展示している「FogHorn Lightning」は、現場の人が使うことを想定した製品。産業システムのデータをリアルタイムで取得して処理し、現場の人たちが即座に知見を得られるようにしている。

 FogHorn Lightningでは、MQTT、MODBUS、あるいはOPCUAによるデジタル出力を機器の設定変更なしにリアルタイムで取得できる。データは特定の条件を満たした場合にのみ収集することも可能。例えば「部品交換前の30分」などを指定できる。取得したデータは、ゼロプログラミングでリアルタイム解析するなどができるという。データのクレンジングや成形、変換といった機能も備えている。

IoTではエッジでの機械学習も現実的に

 IoTでは、京セラコミュニケーションシステムがSigfoxサービスを紹介している。

 Sigfoxはフランスの同名企業が開発し、世界展開しているIoTデバイスに適したLPWA(省電力長距離)通信ネットワーク技術の1つ。KCCSは日本におけるSigfoxのパートナーとして、Sigfoxデバイスのための通信サービスを提供開始。全国をカバーすることを目指している。また、センサー機器「Sigfox無線センサデバイス」も提供している。

 KCCSはジョイ・ワールド・パシフィックと共同で、Sigfox無線センサデバイスを使うビニールハウス環境管理ソリューションの実証実験を、青森県で2018年6月12日に開始したと発表している。

 同社はこのセンサー機器や、農業トラクターの転倒事故を防止するためのIoT機器「Sigfoxトラクター転倒通報デバイス」を展示している。

 丸紅情報システムが展示している「CLOUDIAN AI Box」も面白い。同製品は監視カメラなど、生成されるデータを全てパブリッククラウドに送出できない場合、ローカルで機械学習のモデル構築および適用が行える。

 AI Boxにはアウトドア用、室内用があるが、どちらも外見上は一般的なIoTゲートウェイのように見える。実際には、例えばアウトドア用では防水・防塵機能を備える他、通信についてはPoE給電イーサネット、LTE、Wi-Fi接続ができる。

 そこで例えば、ビデオカメラをPoE給電ポートに接続して、電源/ネットワーク配線を簡素化できる。一方でLTE接続を通じ、クラウドなどとの接続が可能。

 こうしたハードウェア上に、CLOUDIAN AI Boxではソフトウェア基盤を搭載している。具体的には、コンテナ上でTensorFlow、Caffe、あるいはChainerを使った機械学習のモデル構築と適用が可能となっている。

GPUをリモートサーバから活用できる

 機械学習などで、GPUを活用する場面が増えている。だが、サーバ1台ごとに搭載するのでなく、複数のサーバから効率的に利用できるようにしたい。こうしたニーズに応えるのが、ファーウェイの展示している「Atlasインテリジェントクラウドハードウェアプラットフォーム」。

 実体としては、PCIeスロットを8本備えた同社のサーバにGPUを装着。これをリモートで活用できる。具体的には、InfiniBandでGPU搭載サーバと汎用サーバを接続、これを通じてGPUを汎用サーバにアタッチできる。

 任意の数のGPUを割り当てることができる。特定のGPUを遠隔アタッチすることも可能。また、遠隔アタッチするGPUを入れ替えるなどもできる。割り当ての作業は、専用の管理ソフトウェアを使い、数秒のうちに済ませることができる。遠隔アタッチした場合のパフォーマンス低減率は、10%以内にとどまるという。

 Atlasでは、現在NVIDIAの複数GPUモデルに対応している。将来は、FPGAなどにも対応する予定となっている。

ベクトルプロセッサーをPCIeカードに

 NECが展示している「SX-Aurora TSUBASA」は、ベクトルプロセッサーをPCIe接続のカードにし、同社のサーバに組み込んだもの。1基を搭載したタワー型サーバ、2/4/8基を搭載したラックサーバ、64基を搭載したラックサーバがある。

 x86プロセッサーとベクトルエンジンのハイブリッド構成で、容易なプログラミングと高い処理性能を両立し、科学技術演算はもとより、AI/ビッグデータ解析に用途を広げるという。

 では、GPGPUとの棲み分けをどう考えるか。NECの答えは次の通り。GPGPUでは、多数のコアを活用した処理の高速化ができるが、アプリケーション処理を都度GPGPUでアクセラレーションする形態となり、相互間の通信がボトルネックとなる可能性がある。一方、SX-Aurora TSUBASAの場合、プログラムを丸ごとベクトルプロセッサーで実行することで、こうしたボトルネックを回避できるという。

 NECのスーパーコンピューター「SXシリーズ」では、これまで独自のOSを使ってきたが、SX-Aurora TSUBASAではLinuxに移行。通常のプログラムをNECのベクトルコンパイラでコンパイルするだけで、ソースコードの修正なしに、ベクトルプロセッサーの性能を活用できるという。

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