Windows 10の回復パーティションから消えた「WinRE」の行方その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(116)(1/3 ページ)

Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)にアップグレードしたユーザーの中には、以前はなかったパーティションが新たに追加されて不思議に思った人もいるでしょう。Windows 10 バージョン1803は2018年7月に半期チャネル(SAC)向けにリリースされ、インストールソースが更新されました。すると、今度は回復パーティションが「空っぽ」になるという怪現象が……。今回は、この現象について筆者が調べた情報と想像をお伝えします。

» 2018年08月09日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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Windowsにまつわる都市伝説

いつの間にか追加された回復パーティション、原因はWinRE.wimの巨大化(だと思う)

 Windows 10の標準的なパーティション構成は、BIOSシステムの場合、500MBの「システムパーティション」と残りの「Windowsパーティション」です。プリインストールPCの場合は、Windowsパーティションの後ろに回復パーティションが、OEMベンダーによって準備されているのが一般的です。

 新規インストールの場合は、500MBのシステムパーティションに「Windows回復環境(Windows Recovery Environment:WinRE)」のイメージ(WinRE.wim)が配置され、回復パーティションを兼用しています。そのため、回復パーティションを持たない2パーティション構成は珍しいことではありません。

 一方、UEFIシステムの場合は、Windows 8.1以前から500MBの「回復(OEM)パーティション」、100MBの「EFIシステムパーティション」、16MBの「Microsoft予約パーティション」(「ディスクの管理」では非表示)、残りの領域がWindowsパーティションの4パーティション構成が標準的です。

 これは常識的な話だと思っているユーザーは多いでしょう。そして、Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)にアップグレードした際、“新しい回復(OEM)パーティションが作成される”という現象に遭遇したユーザーは少なからずいると思います。

 これは、おそらく「BIOSシステムのユーザー」が遭遇した現象です。発生条件ははっきりしませんが、新しい回復(OEM)パーティションに不適切にドライブ文字が割り当てられてしまい、ディスク領域不足の通知が出るようになったというトラブルに遭遇したユーザーもいるようです(画面1画面2)。

画面1 画面1 BIOSシステムにいつの間にか追加された回復パーティション。以前はシステムパーティションにあったWinREのイメージが、新しい回復パーティションに移動していた
画面2 画面2 Windows 10 バージョン1803の機能更新プログラムによるアップグレード後、このような通知を目にしたユーザーも一部にはいたようだ(この画面は筆者による再現)

 BIOSシステムで新しいパーティションが追加されたのは、おそらくWinREのイメージである「WinRE.wim」のサイズが大きくなったことが原因と筆者は想像していたので、これまであまり気に留めることはありませんでした。

 Windows 10初期リリース時のWinRE.wimのサイズは300MB前後でしたが、Windows 10 バージョン1803では64bit版で400MBを超えています(2018年4月30日リリースのOSビルド17134.1の場合)。これではWindows 10標準のシステムパーティション(500MB)の空き領域が不足するため、Windows 10 バージョン1803の前後で新しい回復パーティションが追加されるケースが多発したのだと想像しました。

 あるいは、今後もサイズが増えることを考慮し、半ば強制的に回復パーティションを別にするという仕様変更がWindows 10 バージョン1803で追加されたのかもしれません。これも想像に過ぎません。

 Windows 7やWindows 8.1からWindows 10にアップグレードした場合は、比較的早い段階(以前のWindows 10バージョン時)に回復パーティションが追加されたはずです。なぜなら、Windows 7の標準的なシステムパーティションのサイズは100MB、Windows 8/8.1は350MBだからです。プリインストールPCの場合は、OEMベンダーが回復パーティションを用意していることが多いのですが、以前のアップグレードで不要になったときに削除したユーザーもいるでしょう。

 BIOSシステムにおいて、システムパーティションはディスクの前方にあるため、Windowsパーティションを縮小して、新たに回復パーティションが作成されるのです(既存のシステムパーティションは、後ろに別のパーティションがあるためサイズを拡張できません)。

 古い回復パーティションを残していた場合は、そのパーティションが再利用されるかもしれません。さまざまなケースが考えられるため、これも想像の域を超えるものではありません。例えば、WindowsとLinuxのマルチブート環境を構成している場合、回復パーティションが追加されたタイミングで、何かしら影響があったかもしれません。

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