ノークリサーチは、Windows 7の有償延長サポートが中堅中小企業に与える影響について見解を発表した。同サポートはWindows 7の延命を支援せず、PCの耐用年数などを考慮するとWindows 10に移行することが堅実な選択肢だとしている。
ノークリサーチは2018年9月10日、MicrosoftがWindows 7の延長サポートを有償で提供すると発表したことを受け、中堅中小企業に与える影響について見解を発表した。それによると、有償延長サポートは中堅中小企業のWindows 7延命を支援しない。PCの耐用年数などを考慮するとWindows 10に移行することが堅実な選択肢だとしている。
Windows 7のサポートは「2020年1月14日」に終了する予定だが、Microsoftは2018年9月7日、Windows 7を対象としたセキュリティ関連の有償延長サポート「Windows 7 Extended Security Updates(ESU)」を提供すると発表した。これを利用するとWindows 7のセキュリティ関連アップデートを、2023年1月まで入手できる。
ただしESUの対象はボリュームライセンス契約のWindows 7 Professional/Enterpriseで、課金はデバイス単位。しかも価格は毎年引き上げられる。そのためノークリサーチでは、中堅中小企業にとってはESUがWindows 7のサポート終了対策の主要な選択肢にはならないと分析している。
ノークリサーチが、Windows 7を利用している年商500億円未満の中堅中小企業に対してPCのOS更新予定時期を調査したところ、「まだ決めていない」と回答した割合が41.4%を占めた。
同社は、これらの企業に対する適切な情報提供や啓蒙(けいもう)がベンダーやSIerなどに求められていると指摘する。今回の延長サポートの提供によって、中堅中小企業が「Windows 7を2020年1月以降も利用できる」と「誤解」してしまう恐れがあるためだ。ノークリサーチによれば、今回Microsoftが発表した有償延長サポートは主に移行作業に時間を要する大企業を想定したもので、中堅中小企業に対してWindows 7の継続利用を支援するものではないと捉えるべきだという。
一方、Windows 10には「サービスとしてのWindows」という考え方が導入され、従来の「サービスパック」に代わって「機能更新プログラム」が年2回提供される。機能更新プログラムが適用された状態のサポート期間はその提供開始から18カ月であるため、Windows 10で継続的にサポートを受けるためには機能更新プログラムを適用し続ける必要がある(更新サイクルが長い「Long-Term Servicing Channel(LTSC)」も用意されている)。
こうしたWindows 10の機能更新プログラムに関する運用について、ノークリサーチが中堅中小企業に聞いたところ、機能更新プログラムを年2回適用すると回答した割合は46.1%、機能更新プログラムの適用回数を極力減らすが27.3%、LTSCを選ぶが4.3%だった。
Windows 10への移行は単なるOSの更新ではなく、業務システムの新規開発や、PCの運用管理についてコンサルティングやアウトソーシングの需要を喚起する可能性がある、とノークリサーチは指摘する。
これは、Windows 10への移行に伴う管理、運用の負担を軽減する対策として考慮している取り組みについて聞き取った調査結果に基づく。それによると、最も多かった回答が「重要な業務システムをサーバ上で稼働させる」で15.3%を占めた。次いで「アップデート作業を外部に委託する」の10.6%、「重要な業務システムをWebアプリケーションにする」の10.4%だった。
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