IDC Japanの調査によると、AIとMLの導入が進むに従い、それを支えるストレージインフラ支出が増大すると認識する企業は70%に達した。AI/MLデータ増大への対応、ストレージ予算増加、データの統括管理などに伴う支出が想定される。
IDC Japanは2018年9月13日、AI(人工知能)とML(機械学習)が国内企業のストレージ支出に与える影響についての調査結果を発表した。
IDCでは、IoT(Internet of Things)、AI、ロボティクスなどを、IT支出をけん引する「イノベーションアクセラレーター」と位置付けている。今回の調査は、イノベーションアクセラレーターの中で、ストレージ支出に最も影響を与えると考えられるAIとMLが、実際にストレージ支出にどのような影響を与えるのかを調査したもの。
調査対象となった国内企業611社のうち、AI/MLを「本番導入済み」「開発/試験中」「1〜2年以内に導入を計画」「時期は未定だが導入を検討中」と回答した企業は448社(73.3%)だった。
この448社に対し、2018〜2020年の期間にAI/MLがストレージ支出に与える影響について尋ねたところ、「非常に大きな影響を与える」(25.4%)、「大きな影響を与える」(44.6%)を合わせた回答率は70.0%に達し、多くの企業が「AI/MLに取り組むことでストレージ支出が大きく変わる」と認識していることが分かった。
上記448社がAI/MLの導入に伴うストレージ支出の変化として想定しているのは、「AI/MLデータの増大への対応が求められる」が回答率50.3%でトップとなり、次いで「AI/MLのストレージ予算の増加」(46.2%)、「AI/MLデータの統括的な管理が求められる」(39.8%)だった。
具体的なテクノロジーについては、「オブジェクトストレージの導入の増加」(33.8%)、「Software-Defined Storageの導入の増加」(31.2%)、「オールフラッシュアレイの導入の増加」(26.1%)が上位3項目となった。次いで、フラッシュの新しい接続環境である「NVMeやNVMe over Fabricsの利用の増加」が22.6%の回答を得た。
また、AI/MLの利用目的については、経営改善や顧客満足度の向上だけではなく、自社のITインフラの運用管理に利用する意向が強いことも分かった。現在、自社のITインフラ管理にAI/ML(またはAI/MLをベースにした運用管理サービス)を既に「利用している」と回答したのは8.2%にとどまったが、「1〜2年以内に利用を計画」が44.8%、「時期は未定だが利用を計画」が21.3%となり、調査対象企業の74.3%(454社)が利用に積極的な考えを持っていた。
AI/MLを自社のITインフラ管理に利用する理由としては、「保守サポートコストの抑制」(49.3%)、「ビジネス要求への迅速な対応」(43.0%)、「人員コストの抑制」(40.7%)が上位3項目だった。
IDCでは、AI/MLの本格的な導入が始まることで、ストレージインフラはAI/MLを支えるデータ基盤としての役割が強く求められると分析。こうした役割を果たしていくために、ストレージベンダーは、現在抱えているストレージインフラのボトルネックを解消できる新しいテクノロジーの実装を強化していく必要があると指摘している。
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