Googleは、「Google Cloud Platform」で新サービスをα版としてリリースした。特徴は不揮発性メモリ「Intel Optane DC Persistent Memory」を搭載する仮想マシンを用いたことだ。インメモリデータベースを使うユーザーに向くという。
Googleは2018年10月31日(米国時間)、「Google Cloud Platform」(GCP)において、不揮発性メモリの「Intel Optane DC Persistent Memory(Optane DC)」を利用したサービスのα版をリリースした。総メモリ量7TBの仮想マシン(VM)を提供する。
Optane DCを搭載したVMは現在、新サービスのαテストプログラムに参加している顧客にのみ提供されている。Google Cloudは、Optane DCを使用するVMを提供する初のパブリッククラウドプロバイダーであり、2019年には、より大規模なOptane DCベースのVMを提供する計画だという。
今回のサービスについて、Googleは次のように述べている。「このネイティブ7TBのVMにより、GCPの顧客はワークロードをスケールアップできる他、Google Cloudのインフラの機能や柔軟性、例えばオンデマンドプロビジョニングや、ライブマイグレーション、柔軟なスケールアップおよびダウンなどを全て享受できる」
Googleは、企業顧客がインメモリデータベースを運用するために、より高いスケーラビリティと起動レイテンシの短縮、効率の向上を必要としていると考えている。
新サービスの初期顧客はOptane DCを使用することで、SAPのインメモリデータベース「SAP HANA」の起動時間を12分の1に短縮できたという。Googleは、「Optane DCを使用するGCPの顧客は、DRAMベースのVMを使う場合と比べて総所有コスト(TCO)を下げることができ、運用効率向上とコスト抑制の両立に悩まずに済む」としている。
Googleは、インメモリワークロードが革新的なデータ管理を支えるようになり、メモリの大容量化が必要とされていると認識している。2018年7月には、SAPワークロード向けにOptane DCをサポートするVMをGCPで提供することで、IntelおよびSAPと提携したと発表していた。大量のデータを処理、保存し、SAP HANAのようなインメモリデータベースを実行する顧客のための重要な前進だとしている。
Intelは2018年6月にOptane DCを発表、サンプル出荷を開始した。形状はDRAMと同様DDR4スロットに装着するDIMMだ。
ハードウェアとしての特徴は2点ある。一つはDRAMよりも安価であること、もう一つは不揮発性であるため、電源を遮断してもデータが消えないことだ。このため、マシンの起動時(コールドスタート時)にディスク装置などから主記憶に初期データを転送する必要がなくなる。つまり、起動時間が短くなる。
弱点もある。メモリ素子にDRAMではなく、IntelとMicronが開発した「3D XPoint」を利用しているため、書き込みがフラッシュメモリを用いたSSDよりは速いものの、DRAMと比較すると遅いことだ。
従って、頻繁に書き込みが必要なメモリ領域とそうではないメモリ領域を分割し、それぞれDRAMとOptane DCを配置する構成を採った場合、システム全体の性能が最大になるという。
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