Microsoftは、Webマスター向けのユーザー行動分析ツール「Clarity」のβ版をリリースした。ユーザーの画面操作をそのまま再生することで、Webページ設計の欠点をあぶり出すことができるという。
Microsoftは2018年12月12日(米国時間)、Webマスター向けのユーザー行動分析ツール「Clarity」のβリリースを発表した。
WebマスターがClarityを使うメリットは、Webサイトを訪問したユーザーの行動を大規模に可視化できることだ。ユーザーのコンバージョンやエンゲージメント、維持のため、具体的にサイト上で何を変更、改良すべきか、データに基づいて決定できる。
ClarityはWebマスターを支援するために、ユーザーがWebサイトをどのように操作、利用したか、再生できるように設計されている。ヒートマップやスクロールマップといった一般的な機能も提供する。
Webエクスペリエンスをアップデートするため、Web開発者はこれまでユーザー調査やABテストなどを頼ってきた。だが、いずれも固有の限界がある。例えば、ユーザー調査で選び出したサンプルユーザーは、ターゲットオーディエンスを十分に代表していないかもしれない。ABテストでは、変更による指標への影響は分かっても、その原因は分からない。
Clarityは、ユーザーセッションを再生できるため、ユーザーがサイトをどのように使っているのか把握できる。セッションを再生すれば、ユーザーがどこで足踏みするか、どこでエンゲージメントが高まるかが分かる。
Clarityのセッション再生では、ユーザーのマウスの動きや、タッチジェスチャー、クリックイベントも再生可能なため、ユーザーの気持ちの変化を追ったり、不満を理解したりできる。
Clarityの動作はMicrosoftのプライバシー方針に従っている。テキストマスキングにより、ユーザープライバシーを尊重した。具体的には、分析レイヤーにおいてテキストをデフォルトでマスクし、アップロードされないようになっている。
MicrosoftはClarity活用の成功先行事例として、自社のBing部門とプレリリースパートナーの1社であるCookWithManali.comのケースを紹介している。
Bing部門ではClarityを使って、ユーザーサイドのマルウェアがWebページのコンテンツを改変している場合など、ユーザーの検索エクスペリエンスの問題点を調査し、サイト設計を改善できた。
料理ブログのCookWithManali.comでは、Clarityを使った分析により、多くのユーザーがページの途中で閲覧を中断する事実が分かった。対策として「レシピにジャンプ」というボタンを設けることで、ユーザー満足度を高め、ページ滞在時間を伸ばした。
Clarityは、デスクトップとモバイル向けに設計されており、任意のHTMLページに対応する。Webサイトに小さなJavaScriptコードを追加後、直ちにサイトのデータを受信可能になるため、Web開発者はすぐにClarityを利用できる。
追加されたJavaScriptコードはブラウザイベントを受信(リスン)し、レイアウト変更やネットワーク要求、ユーザーの操作を追跡して記録する。操作データは、Microsoft Azure上のClarityサーバにアップロード後、保存される。
Clarityは、一般的な2〜3文字のトップレベルドメイン(.com、.edu、.au、.ukなど)と互換性がある。Microsoftは他の一般トップレベルドメイン(gTLD)との互換性向上にも取り組んでいる。
Clarityを使用するには、ClarityサイトでMicrosoftアカウントを使ってサインアップすればよい。
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