Microsoftは、「Bing」や「Azure Stream Analytics」などで利用している高性能なストリーミングアナリティクスエンジン「Trill」をオープンソース化した。
Microsoftは2018年12月17日(米国時間)、高性能なストリーミングアナリティクスエンジン「Trill」をオープンソース化したと発表した。
Trillは、2012年にMicrosoft Researchの研究プロジェクトとして始まり、「Bing」や「Azure Stream Analytics」などで利用されているMicrosoft社内で最大級のミッションクリティカルなストリーミングパイプラインの主要コンポーネントだという。
MicrosoftはTrillをオープンソース化した理由として次のようにコメントしている。
「現在では、ミリ秒単位ごとに膨大なデータを処理できる能力が、一般的なビジネス要件となっており、(こうした動向への対応を支援するため)1日に1兆(trillion)件のイベントを処理できるTrillをオープンソース化した」
Trillはストリーミングエンジンや、軽量インメモリリレーショナルエンジン、プログレッシブクエリプロセッサ(部分的データに対する初期クエリ結果用)としても利用できる。
MicrosoftはTrillの特徴として次の3点を挙げている。
Microsoftによれば、Trill以外の開発者コミュニティーには、Trillに匹敵する性能のものは存在しないという。
Trillをオープンソース化することで、IEnumerableやIObservableと同じように、IStreamableによる抽象化を全ての顧客が活用できるようにしたいとMicrosoftは述べている。TrillとIStreamableが、現在、さらに将来のオープンソース製品のストリーミング処理やテンポラル処理の強力な基盤を提供することを期待しているという。
Microsoftによれば、Trillの今後の開発では、コミュニティーが関わる機会が少なくないと述べている。
Trillは拡張性に富んでいる。例えばユーザーがカスタムアグリゲートを作成できる。Trillの内部アグリゲートは、ユーザー定義のアグリゲートと同じフレームワークで実装される。全てのアグリゲートが同じ高パフォーマンスアーキテクチャを使用するようになっている。
Trillは既に幅広いアグリゲートを備えているが、金融などの分野をはじめ、追加可能な他のアグリゲートは無数にあると、Microsoftは述べている。
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