企業の44％が正式な戦略なくハイブリッドクラウドを実装、アジア太平洋地域で：ハイブリッドクラウドではセキュリティがカギ

NTTコミュニケーションズは451 Researchの調査結果を引用し、「アジア太平洋地域の企業の44％は、正式な戦略を立てないままハイブリッドクラウドの実装を進めている」と指摘した。

[＠IT]

　NTTコミュニケーションズは2018年1月17日（米国時間）、調査会社451 Researchによる調査をまとめたホワイトペーパー「Going Hybrid: Demand for Cloud and Managed Services Across Asia-Pacific」を引用し、「アジア太平洋地域の企業の44％は、正式な戦略を立てないままハイブリッドクラウドの実装を進めている」と指摘した。

　ホワイトペーパーでは、技術選択とサービスプロバイダーの選考、サービスの優先順位、ハイブリッドクラウド戦略の基準と実行について分析している。

　アジア太平洋の企業ではマルチクラウドの利用が一般化しており、調査に回答した企業の90％以上がマルチクラウド環境を利用していた。ハイブリッドクラウドを利用している企業も5割を超えている。だが、ほぼ44％の企業が、全体的な戦略なくハイブリッドクラウドの実装を開始していた。

44％の企業は全体的な戦略がないままハイブリッドクラウドの実装を開始している（出典：Going Hybrid: Demand for Cloud and Managed Services Across Asia-Pacific）

クラウド移行に王道なし

　過半数の企業がパブリッククラウドの導入時に、社内環境からのワークロードの移行に重点を置いていた。

　だが、クラウドへの移行で主流のアプローチはなく、“リフト＆シフト”アプローチにフォーカスしている企業が28％、移行前にリファクタリングを行っている企業も28％だった。さらに、純粋に新しいアプリケーションを使うためにパブリッククラウドにフォーカスしている企業も3分の1に達している。

クラウドへの移行に主流のアプローチはなかった（出典：Going Hybrid: Demand for Cloud and Managed Services Across Asia-Pacific）

　ハイブリッドワークロードのデプロイ計画についても特定の傾向はほとんど見られなかった。

　2年後にハイブリッドクラウド環境に移すワークロードとして多くの企業が挙げているのは、CRM／販売とマーケティング（49％）、データベースとデータウェアハウジング（48％）、ファイルやコンテンツの保存（47％）だ。現在の割合はそれぞれ、25％、28％、28％だ。

　いずれのワークロードでも2年後の割合が大きく上昇している。つまり、幅広いビジネス要件やアプリケーションポートフォリオをサポートする手段として、ハイブリッドクラウドの信頼性が高まっていることを示している。

セキュリティの課題を解決するには？

　さらに調査では、セキュリティとコンプライアンスが、ハイブリッドクラウドへの移行を進める上で重要な考慮点となっていることも分かった。

　95％の企業が、セキュリティとコンプライアンスを最重要な要件として挙げている。さらに半数近くの企業が、マルチクラウド環境の採用開始時に直面する課題として、複数環境間でセキュリティポリシーの一貫性を向上することと、リスク管理の改善を挙げている。

　だが、ハイブリッドクラウドに対応してセキュリティを設計、適用するのは困難であり、自社のセキュリティチームでは手に負えない場合もある。企業の50％以上が、クラウドへの取り組みのある時点からマネージドサービスを採用している回答した。

　「Going Hybrid: Demand for Cloud and Managed Services Across Asia-Pacific」はNTTコミュニケーションズとVMwareが、451 Researchに委託した調査の結果をまとめたもの。

　調査期間は2018年第3四半期。アジア太平洋地域に立地する従業員1000人超の企業を対象とした。対象企業の70％が年間売上高10億ドル超。対象業種の上位3つは、金融／保険、製造／建設、小売だった。対象となった国と地域は6つ。それぞれの比率は、オーストラリア（21％）、香港（22％）、インドネシア（14％）、マレーシア（11％）、シンガポール（21％）、タイ（11％）。