Gartnerが最新の「Emerging Risks Survey」を公開した。人材不足が過去3カ月に深刻化し、世界の企業が直面する最大のエマージングリスクになったという。人材戦略を確立し、人材を外部から調達する以外の対応が求められる。
Gartnerは2019年1月17日(米国時間)、同社の最新の「Emerging Risks Survey」(エマージングリスク調査)により、人材不足が過去3カ月に深刻化し、世界の企業が直面する最大のエマージングリスクになったことが分かったと発表した。
Gartnerは四半期ごとにリスクを調査している。企業の上級幹部137人から回答を得た2018年第4四半期の調査では、「人材不足」への懸念が1位となった。同第3四半期で1位と2位を占めていた「プライバシー規制の強化」「クラウドコンピューティング」への懸念を上回った形だ。
Gartnerのマネージングバイスプレジデント兼リスクプラクティス責任者を務めるマット・シンクマン氏は、2018年第4四半期の上位のエマージングリスクについて次のように説明している。
「ビジネス課題に対処するには、新しい人材を採用する必要がある。ところが、こうした課題に対応できる人材は、供給が極めて不足している」
2018年第4四半期の調査では回答者の63%が、人材不足を大きな懸念事項に挙げた。特に金融サービスや製造、消費者向けサービス、政府機関と非営利団体、小売り、ホスピタリティーといった業種が大きな懸念を示した。これらの各業種では、3分の2以上の回答者が、上位5つのリスクの一つとして人材不足を挙げている。
企業は重大な人材不足に対して、外部人材の採用戦略から、現有人員の教育と育成へと、人材リスクを軽減する戦略にシフトする必要があることが、Gartnerの調査から分かる。
さらにGarnerは、一連の上位のリスクを軽減する戦略も、しっかりした人材戦略によって得られる場合が多いと述べている。例えば、プライバシー規制に適切に対処するための重要な施策としてGartnerが推奨しているのは、データ保護責任者を置くことだ。また、GDPR規制やデジタル化も、組織のほぼ全ての業務に影響する、さまざまな専門人材ニーズをもたらす。
Gartnerは、エンタープライズリスクチームと人事リーダーが協力し、企業が直面している重要な人材リスク分野について、社内のどの組織が責任を持つのかを明確に定義した上で、取り組むことを勧めている。
「人材リスクの観点から見ると、現状がどうなっているのかについて、社内のさまざまな組織が異なる情報を持っていることが多い。強力な人材データ集や分析技術を確保し、従業員の声によく耳を傾け、人材リスクをリアルタイムに特定することが重要だ」と、Gartnerの人事プラクティス担当グループバイスプレジデント、ブライアン・クロップ氏は述べている。
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