ノークリサーチは中堅中小企業向けにIT商材を提供する販社やSIerが、社数シェアの維持と拡大を図る上で重視すべき点に関する分析を発表した。どの販社やSIerが選ばれているのかを調査し、シェアの変化や商材の分類との関係を確かめた。
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ノークリサーチは2019年1月28日、IT商材を提供する販売会社(販社)やシステムインテグレーター(SIer)が、シェアの維持と拡大を図る上で重視すべき点について分析を発表した。
年商500億円未満の中堅中小企業向けにIT商材を提供し、社数シェアを維持、拡大するには、基幹系システムを中心として、その他の商材も幅広くカバーすることが不可欠だという。導入効果の改善は重要だが、シェア拡大にはすぐには寄与しないことも分かった。
ノークリサーチの調査によると、ユーザー企業がIT商材を購入する主要な委託先/購入先(プライム販社)の2018年のシェアは、トップから順に大塚商会(シェア14.3%)、NTTデータ(同10.4%)、リコー(同5.8%)、オービック(同4.1%)、富士ソフト(同3.4%)。
このうち、2017年からシェアの伸びが大きかったのは、富士ソフトの+1.7ポイント、リコーの+0.5ポイント、オービックの+0.3ポイントだった。
ノークリサーチは社数シェアを伸ばした企業のうち、オービックと富士ソフトを例に挙げ、どのようなIT商材を販売しているのか比較した。
販売したIT商材の分類(基幹系システム、ハードウェア、事務機器、クラウド)を販社ごとに調べると、オービックや富士ソフトは、基幹系システムの割合が他の販社よりも大きかった。
特にオービックは、基幹系システムが86.8%と高く、ハードウェアは30.2%、事務機器が11.3%、クラウドが13.2%。富士ソフトも基幹系システムが79.5%と高く、ハードウェアが40.9%、事務機器とクラウドがいずれも15.9%だった。
オービックと富士ソフトを比較すると、クラウドなど基幹系システム以外の割合は「富士ソフト」の方が若干高かった。
なお、大塚商会は基幹系システムが61.8%、ハードウェアが52.7%、事務機器が29.6%、クラウドが4.3%だった。
こうした結果からノークリサーチでは、プライム販社としてのシェアを維持/拡大するためには基幹系システムが重要だが、それに加えて幅広い商材をそろえることが不可欠だとしている。
中堅中小企業がIT商材を導入した「効果に関する評価」を調べると、2017年から2018年にかけて評価を高めても、それがすぐにはシェア拡大につながっていないことが分かった。効果に対する評価とは、売り上げ改善と経費削減の両方を満たしたかどうかを指している。
評価とシェア拡大の傾向が全く異なる例として、ノークリサーチは富士通マーケティングとリコーの例を挙げている。
富士通マーケティングに対するIT商材導入効果に関する評価は、2017年の29.4%に対して2018年は36.8%だった。だがシェアは、2017年の3.5%から2018年は2.9%に落ちてしまった。同じく、リコーに対する評価は、2017年の26.1%に対して2018年は13.2%に下がった。だがシェアは、2017年の5.3%から2018年は5.8%に上がっている。
なお、今回の分析の基になった調査は、日本全国の年商500億円未満の中堅中小企業を対象としたもので、対象業種は組み立て製造業、加工製造業、建設業、卸売業、小売業、流通業、運輸業、IT関連サービス業、一般サービス業、自治体など。60社以上の販社とSIerの具体名を挙げ、「業務システムの委託先/購入先となっているのはどこか」といった質問を提示した。有効回答数は1300だった。
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