Microsoft AzureポータルにWebブラウザなしでアクセスすることができる、Windows向けの「Azure Portal App」がプレビューとして利用可能になりました。
2018年1月にクラシックポータルが完全に廃止されて以降、Azureのポータルは現在の「Azureポータル」(https://portal.azure.com)に一本化されました(画面1)。
その後、2018年5月には1年間のプレビューを経て、iOSおよびAndroid向けの「Azure Mobile App」の一般提供が開始されました。Azure Mobile Appは、各デバイスの公式ストアから無料で入手できます(画面2)。
ご存じの方は少ないかもしれませんが、WebベースのAzureポータルには「プレビューポータル」もあり、2017年1月から利用可能になっています。正式版のAzureポータルにも多数のプレビュー機能(新しいユーザーエクスペリエンスやサービスの個別のプレビュー機能)が追加されますが、プレビューポータルはAzureポータルに実装される予定の最新のポータル機能をいち早く試して評価できるものです(画面3)。Azureを運用環境で利用する場合は、正式版のAzureポータルを使用すべきです。
そして、つい最近、筆者が確認したのは2019年4月末ごろになりますが、Webベース、モバイルアプリに続く、第3のポータルとしてWindows向けの「Azure Portal App」というアプリがプレビュー機能として利用可能になりました。
ざっと試用した限り、Azureポータルとほとんど共通の管理機能および操作が可能なようです(画面4)。Azure Portal Appは、Azureの管理に使用するWindowsマシンで「Microsoft Edge」や「Google Chrome」「Mozilla Firefox」「Apple Safari」といったモダンブラウザを利用できない環境向けに、WebブラウザなしでAzureポータルと同等のエクスペリエンスを提供することを目的としているようです。
Azure Portal App(プレビュー)は、以下のいずれかのURLからインストーラー(AzurePortalInstaller.exe)をダウンロードできます。どちらからダウンロードした場合でも同じバージョン(2019年5月末時点でv3.0.10)がインストールされます。プレビュー版であることは、ダウンロードページに表示されるMicrosoft Software License Terms(ライセンス条項)に記載されています。
Azure Portal AppはユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)アプリではなく、デスクトップアプリ(Win32アプリ)であり、「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\AzurePortal\Production\MicrosoftAzurePortal.exe」ディレクトリにインストールされます。システム要件は確認できませんでしたが、Windows 10やWindows Server 2016/2019はもちろん、Windows 7にもインストールして利用できました。
ユーザーごとにインストールされるため、管理者権限は要求されません。ただし、インストール可能なのは64bit(x64)OSのみです。Azure Portal Appは32bitアプリですが、インストーラーが64bitになっていました。
実は、2019年4月末ごろから、AzureポータルまたはAzureプレビューポータルに「Internet Explorer(IE)11」でアクセスすると、上記のいずれかのWebページにリダイレクトされるようになりました(画面5)。
現行のAzureポータルは、ほとんどのデスクトップPCやノートブックPC、タブレットデバイスの主要なWebブラウザから利用できます。以下の公式ドキュメントにあるように、IE 11は、Microsoft Edge、Google Chrome、Mozilla Firefox、Apple Safariの最新バージョンと同じく、推奨されるWebブラウザにリストされています。
Azure Portal Appが案内されるからといって、IE 11の使用がサポートされなくなるわけではありません。しかし、将来的には推奨されなくなる可能性はあります。Azure Portal Appはそのときを想定してのプレビュー提供という意味合いがあるのかもしれません。
現在のAzure Portal Appには、アンインストール機能が見当たりません。Windows 10の場合は、以下のディレクトリを丸ごと削除することでクリーンアップできました。
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\AzurePortal
%APPDATA%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\AzurePortal
この点を含め、Azure Portal Appはプレビュー版であることに注意してください。このプレビュー版は、「現状有姿のまま(as-is)」「瑕疵(かし)を問わない条件(with all faults)」で、かつ「提供可能な場合に提供し得る形で(as-available)」提供されるもので、Azureサブスクリプション契約に含まれるSLA(Service Level Agreement)や保証が制限されます。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2018/7/1)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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