New Relic、新機能「New Relic One」で「APM」から「デジタルトランスフォーメーションツール」へ国内事業を強化

APMベンダーのNew Relicは2019年5月、同社のクラウド型製品「New Relic」で、「New Relic One」という新機能をリリースした。これは、New Relicを顧客組織全体に広げるという新たな位置付けをもたらすものだという。

» 2019年06月12日 08時30分 公開
[三木泉@IT]

 アプリケーションパフォーマンスモニタリング(APM)」と呼ばれる分野における主要ベンダーの一社に、New Relicがある。同社は2019年5月、同社のクラウド型製品「New Relic」で、「New Relic One」という新機能をリリースした。この新機能について日本法人に聞くと、New Relicを顧客組織全体に広げるという新たな位置付けをもたらすものだという。同社は2019年6月12〜14日開催の「AWS Summit Tokyo 2019」にも出展する。

 New Relicは、例えばGartnerのMagic QuadrantではAPM製品として評価対象となっている。だが、同社は自社製品全体を形容する際に、「APM」という言葉は使わず、「オブザーバビリティ(可観測性)プラットフォーム」と表現する。狭義のAPMは、「アプリケーションレベルに閉じたパフォーマンスの計測と管理」のみを意味すると受け取られがちだからだ。

 実際、「New Relic APM」はNew Relicの一機能の名称で、他に「Infrastructure」「Insights」「Mobile」「Browser」「Synthetics」といった機能を提供してきた。「アプリケーションパフォーマンス」はWebブラウザにおけるページロードなど複数の意味を持ち、一方でパフォーマンスに影響を与える要素は、ITインフラまでのさまざまなレイヤーにまたがる。こうした点から、パフォーマンス評価指標と計測対象を広げてきた。最近では、分散トレーシングや、Kubernetesクラスタ上の各種要素を立体的に可視化してパフォーマンス管理が行える機能を付加している。

 New Relicのサービスは、Airbnbをはじめとした1万5000の新興企業、および2000のグローバル企業で使われ、日本にも数百社の顧客が存在するという。

 New Relic Oneは、上記の既存機能に新たなユーザーインターフェースを付加するものだという。日本法人の小西真一朗社長によると、アプリケーション開発者からIT運用担当者、プロダクトマネージャー、顧客サポート担当者、マーケティング担当者まで、それぞれが自らの業務の文脈で、New Relicの情報を活用できるとしている。

 例えば、オンラインゲームサービス企業などで、アプリケーションパフォーマンスと収益を関係付けて、俯瞰的に把握するといったことも容易になるという。

New Relic Oneの機能の一つである「Entity Explorer」では、サービス、フロントエンド、ホスト、データベース、クラウドサービスなど、システム構成要素を「エンティティ」と呼び、エンティティ単位で稼働状況を管理すると共に、エンティティ同士の関係や依存性をレポートするという
デジタルビジネスを構成するエンティティが、事業にどのような影響を与えているかを容易に可視化できる

 New Relic Oneでは、まず、全てのパフォーマンスデータを1カ所で閲覧できる。また、ユーザーは、自身が業務上関心のあるパフォーマンス関連データを、アプリケーション横断的に検索し、能動的に把握できる。さらに、ビジネスへの影響と関連付けたダッシュボードを容易に作成できるという。

 こうした機能を通じ、企業におけるデジタルトランスフォーメーションを支援するツールとしての推進を図っていくという。New Relic日本法人は2018年8月に、Japan Cloudとの合弁という形で日本法人を設立。数年で従業員100人規模を達成しようとしている。日本のチーフ・デジタル・オフィサーによるコミュニティの形成や、パートナーとの連携を通じたデジタルトランスフォーメーションコンサルティングに力を入れていくという。

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